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昨日、ポストに、Amazonから、本が数冊、届いていた。毛利敏彦の『明治六年政変 』と桐野作人の『 桐野利秋』、池波正太郎の『人斬り半次郎 』。最近は、西郷や桐野の史料や文献を求めて、国会図書館早稲田大学図書館、慶應義塾大学図書館などにちょくちょく通っているが、やはり、図書館の本は、味気ない。いくら読んでも頭に入らない。

小林秀雄も『 骨董』というエッセイで、骨董というものは、買うものだ。自分の金で買って、家に持ち帰り、じっくり眺めた挙句、思う存分、撫で回す。それが骨董だ、美術館で、遠くから眺めるものは骨董ではない、それは鑑賞陶器だと言っている。本もそうだと思う。図書館で読む本、あるいは図書館から借りてきた本は本ではない。というわけで、手に入る限りの本は買うことにしている。赤線を引き、折り目を付け、自分の本にする。今回の旅のお供は、毛利敏彦の『明治六年政変 』( 中公新書 )だ。この本は、素晴らしい。目から鱗征韓論をめぐる西郷隆盛大久保利通木戸孝允等の陰謀や謀略を、資料や文献にもとづいて 、徹底的に分析している。「 岩倉使節団は大失敗だった 」「 西郷や江藤新平板垣退助大隈重信等の留守政府の面々は、 身分制の撤廃、徴兵制、地租改正、宗教の自由化、結婚の自由化・・・など、近代化政策をどんどん実行・実現していった。」「帰国後の大久保利通等は、戻るべき場所がなかった。 」「 征韓論を政争の具にして江藤新平を追い落とし、佐賀の乱で晒し首にし、密偵活動で西郷を挑発し、西南戦争で西郷を潰した 」と。世間にはびこる「通説」を粉々に打ち砕いていく。惜しむらくは、そういう「風評 や通説」を、誰が唱え、誰が流布したか、について、個人名が出ていないことだ。東京帝国大学国史学科の歴史学者たちへ遠慮しているのか。

明治六年政変 (中公新書 (561))

明治六年政変 (中公新書 (561))

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