https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

いつ、戦場(いくさば)に駆り出されるかわからない。今日は平穏でも、明日は命がないかもしれない。乱世の世に生まれた明智光秀は、どんな思いで庭を眺めていたのだろう?そんな夢のような想像をしながら光秀の庭を手がけました。
自分の中に置いたテーマは『生きる』。戦場で戦いながら、「今日も生きて帰って、またあの庭を眺めたい」と光秀が思えるような庭。「自分はいつでもここへ戻ってこられるのだ」と思える庭。そういう庭をつくりたいと思いました。

死がすぐそばにあった光秀は、命ある一瞬一瞬を大事にしたはずです。いとおしく思ったはずです。その一方で庭は、普遍であり、悠久の世界です。だからこそ、光秀は願いのような、祈りのような思いを抱きながら庭を眺めていたのではないでしょうか。

石組みの庭では、まず主石を決めます。今回の庭の場合、庭の中心からやや右に寄せて主石を置いています。庭の幅の6対4の位置。ということは、主石は左側の6を支えることのできる大きな石でなければなりません。そして、主石を頂点に不等辺三角形を描くようにそのほかの石を置いていきます。頂点が決まると、その通過点である石の高さも決まってきます。

また、庭の右側に頂点となる主石を置くことで、庭は全体が左方向に柔らかに流れます。庭の入り口が左にあるので、左に緩やかな線を描くことで人が入ってきやすくするためです。

庭の周りは荒磯をイメージし、戦国時代の厳しさを表現したいと思いました。大きな粒の石を庭の周りにまき、激しい波が寄せては返す様が感じられるようにしました。

役者さんがこの庭を見たとき、「きれい!すごい!」と言ったら私の負けです。いい庭とは、風や空気とともに通り過ぎ、ふと振り返る庭。簡素や質素の奥に、本当の贅沢(ぜいたく)はあります。

d1021.hatenadiary.jp

この一矢に定むべし

#テレビ