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上皇ご夫妻は、12日午前10時半すぎ、おととし3月から2年余りを過ごした東京 港区の仮住まい先を車で出発されました。

門の前では近くの保育園の園児およそ50人と、港区長や地域の自治会長が見送りに立ち、園児たちが上皇ご夫妻の車に向かって手を振って「ありがとう」「さようなら」などと声をかけると、上皇さまは身を乗り出しながら手を振られ、上皇后さまは笑顔で会釈されていました。

ご夫妻は12日から2週間、神奈川県の葉山御用邸に滞在し、4月26日に赤坂御用地の新たなお住まいに移られます。

新たなお住まいは、上皇ご夫妻が結婚後30年余りを過ごし天皇陛下秋篠宮さまを育てた建物で、ご夫妻は、秋篠宮ご一家などのお住まいもある、思い出深い赤坂御用地に戻り、新たな生活を始められることになります。

上皇ご夫妻の仮住まい先での生活は2年余りにおよび、その間、地域の人たちとの温かい交流がありました。

上皇ご夫妻が、26年余り暮らした皇居のお住まいをあとにして、東京 港区の仮住まい先に移られたのはおととし3月。

側近によりますと、ご夫妻は、地域の人たちの温かい歓迎に感謝し、つながりを大切にされてきました。

お住まいの敷地内を散策中、近くのマンションのベランダにいる住民から声をかけられ、応じられることもありました。

また、近所の保育園の園児からはご夫妻の誕生日やクリスマスなどに手作りのカードや花束が届けられました。

おととし11月に仮住まいの敷地に落ちていたどんぐりを、園児たちが受け取ったことがきっかけだったということで、12日も見送りに訪れていました。

上皇ご夫妻はこの2年間、花々に彩られた庭の四季の移ろいを楽しみ、静かで穏やかな日々を規則正しく過ごしたということで、懐かしく思い起こされる生活になったと話されているということです。

園児たちが見送りを行った愛星保育園の村岡恵美子園長は「子どもたちは、楽しそうに手を振ってお見送りができました。上皇ご夫妻も、子どもたち一人一人の顔を見られていて、子どもたちもうれしかったと思います。贈り物を受け取ってもらえるとは思っていませんでしたが、職員の方から、お二人がとても喜ばれていたという話を聞いていたので、こうしたつながりを持てたことは本当にありがたいです」と話していました。

港区の武井雅昭区長は、上皇ご夫妻の出発の前にご夫妻にあいさつをしました。
その時の様子について「感謝の気持ちを込めて、上皇后さまに花束を渡すと、お二人で『きれいですね』と話され、喜んでいただきました。ご夫妻がこの場所で2年間を過ごされたことを、喜びに感じ、誇りに思っていますと伝えると、上皇さまは、私たちに対して『健やかに幸せに過ごすことを願います』と話してくださいました」と話していました。

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