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米国のテロ戦争は、米英が作った債券金融システムが1990年代後半から世界(今の非米側)に拡大して新興諸国が発展していきそうだったので、それを防ぐために起こされた。新疆やインドネシアからサヘルまでの広大なイスラム地域を扇動して混乱させ、地政学の「敵方」である非米側の経済発展を阻害するのが目的だった。
だが実際のテロ戦争は過激にやりすぎてイスラム諸国を潰してしまい、アフガンからサヘルまでいくつも失敗国家が作られ、米国の手に負えなくなった。米覇権が低下し、事態の安定化に中露など非米側の台頭が必要になった。

2009年からのオバマ政権がテロ戦争を解消しようとしたので、米軍と諜報界は解消を妨害するため、2011年に中東各地でイスラム主義を扇動して政権転覆させる「アラブの春」を起こし、シリアやリビアが内戦に陥り、オバマの解消策は失敗し、事態はテロ戦争に逆戻りした。アラブの春の影響で、サヘルも2012年にかけてテロ組織の支配地が急拡大し、マリなどは政府機能が低下して国家崩壊に至った。
オバマは、米軍をテロ戦争の泥沼にはめたくないので、サヘルの宗主国でアフリカの覇権国を気取るフランス(実は米傀儡)など欧州に軍を出させ、サヘルを安定させようとした(仏軍5000人、米軍1000人)。仏軍などはサヘルの治安を最低限守ったが、米軍が仏にやらせた戦略が(意図的に)稚拙だったらしく、依然として広大な乾燥地帯がテロ組織に占領されたまま事態はあまり好転せず、経済も治安も悪い中、人々はフランスと自国政府への不満を強めた。

サヘルの行き詰まった事態は、2019年ごろからロシアの登場によって変わり始めた。
ロシアは2015年に、米軍を使いたくないオバマに頼まれてシリア内戦に軍事介入し始め、2017年ごろまでに内戦をアサド政権の勝利で事実上終わらせた。米国が壊したシリアをロシア(とイラン)が救った。安保面でロシアの信用が上がり、近隣の中東やアフリカの国々が「うちも米国に壊されているので救ってほしい」とロシアに頼み込んできた。
米国の自滅的なテロ戦争の結果、中東からアフリカにかけての諸国が、破壊的な米国を敬遠して、ロシアに覇権拡大を頼むようになった。
エジプトは、米国がカダフィを殺して壊したままになっている隣国リビアの内戦の終結をロシアに頼んだ。スーダンは、内戦の解決をロシアに頼んだ。そして、マリなどサヘル諸国も、米仏と付き合っている限り終わらない自滅的なテロ戦争を終わりにしてほしいと頼んできた。

米国側から露側に転換するには、クーデターで政権転換するのが好都合だった。クーデターでできた政権は、米仏から敵視されて仕方なくロシアに頼ったことにできる。
それで、2021年5月にマリで軍部がクーデターを成功させ、新政権は米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄り、ワグネルと契約を結んでテロ退治を開始した(露政府は表向きクーデター不支持を表明しているが)。
マリの転換は成功した。それを見て、マリの南隣のブルキナファソの軍部が2022年2月にクーデターを成功させ、米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄ってワグネルと契約した。

さらに、マリとブルキナファソの転換が成功したのを見て、今回両国に隣接するニジェールの軍部がクーデターを成功させ、すぐにフランスと縁を切った。クーデターを非難すると露側に転向してロシアの影響圏を拡大させるばかりなので、米国は今回ニジェール新政権をあまり批判せず、説得して転覆を元に戻そうとしている。

いずれの国でも、国民は米仏のテロ戦争が自国を破壊したことを知っているので、国民の大半がクーデターを支持している。

ECOWASは西アフリカでEUを真似た国家統合を進めようとするフランス肝いりの策なので米仏に対して従属的だ。
ECOWASのニジェール侵攻策を進めているのはナイジェリアの新任のティヌブ大統領だ。だが強気でやりすぎるとティヌブも自国の軍にクーデターを起こされて政権転覆されかねない。
多民族国家のナイジェリアで強い政治力を持つのは北部に住むハウサ人で、彼らは北隣のニジェールにも住んでいて行き来も多い。ナイジェリアのハウサ人は、自国の軍がニジェールに侵攻して同胞を殺すことに強く反対している。ECOWASはニジェールを軍事制裁しにくい。

多極型世界を望む資本家だったロックフェラーが戦後、ニューヨークに多極型国際組織である国連本部ビルを作って寄贈したように、中国(中共)は、アフリカを多極型世界の極の一つにするためのアフリカ連合の本部ビルを作って寄贈した。
習近平中共は、衰退している米国覇権体制に替わる、多極型の世界体制を作ろうとしている。アフリカ連合は、国連安保理G20の中に、自分たちの場所を設けようとしている。
アフリカは極の一つになる。そのことはプーチンも、最近のロシア・アフリカサミットの挨拶の中で宣言した。この件で、ロシアと中国は組んでいる。ロシアのアフリカ進出は、裏で中国と組んで展開している。

#ニジェール(クーデター・田中宇「アフリカの非米化とロシア」)

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#ニジェール(クーデター・西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)・緊急首脳会議「待機部隊を派遣し、その後に平和的手段によって秩序を回復する」・軍隊を保有しているのはナイジェリアだけ)

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#アフリカ