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 それまでも、北公次さんによる告発本があり、さらに99年には文春がジャニーズ事務所との訴訟の果てに、ジャニー喜多川さんの事務所所属少年に対する性加害報道については最高裁判所より真実との判決を勝ち取っています。にもかかわらずジャニーズ事務所はほぼ平常運転のまま、こんにちまで来てしまいました。ジャニー喜多川さんが亡くなられてイギリスBBCによって犯罪的な少年性被害に関する報道が行われて以降、勇気ある告発者たちの赤裸々な体験の告白によってようやく事件解決の道筋が見え始めた、というのが実情です。

 また、本件ではジャニー喜多川さんが亡くなって以降この問題が騒動になり、その後、外部専門家によるジャニーズ事務所に本件に関する調査報告書が出ているのですが、そこでかなりストレートにジャニーズ事務所に性加害を隠蔽する体質があったと判断されています。この時点で、一連の性加害を繰り返してきたジャニーズ事務所については反社会的勢力、あるいはそれに準ずる組織と思われても仕方がない事態に追い込まれます。

 何より、ここで指摘されるのはジャニーズ事務所ジャニー喜多川さんによる性加害は、その当時、被害者であったかもしれない未成年の男性タレントが、組織防衛のためか加害者に回ってしまう構造があります。当時性犯罪の被害者と同じ立場にあった面々が、表に出て、積極的にジャニーズ事務所の存続を願い、そのような被害実態があったことを証言するどころか隠蔽に回っている時点で反社会的なんですよ。

 結局、BBCジャニーズ事務所の性被害問題を報じ、カウアン・オカモトさんら性被害の実態を公表したタイミングで、すぐにジャニーズ事務所が抜本的な対策をしていれば、あるいはソフトランディングできたかもしれません。逆に言えば、その時期が円満に解決できるフラグであり、最終バスだったと思います。もはや、ジャニーズ事務所は反社会的勢力に準ずる存在として排除の対象となり、性被害を受けた所属タレントさんたちに補償をするバッドカンパニーと、実質的に事務所の機能を存続させ営業するグッドカンパニーとに分け、ジャニーズの看板を下ろして別資本を入れ、人事を刷新しない限り浮上することはおそらくなくなりました。

 さらに、ジャニーズ事務所と各テレビ局、広告代理店などでの癒着問題は、いわゆるビジネス人権上の問題として、人権デューデリジェンスという一般的には耳慣れない単語まで飛び出すようになりました。これは、前述のように北公次さんの告発本や、文春との裁判で少年への性加害が認定されてなお、それと知っていながらジャニーズタレントに人気があるからと言って性犯罪に目を瞑り、結果的にジャニーズ事務所のタレントの売り出しに貢献してきたことは、ある種の共犯、幇助であるとも言えます。

 おそらく、これらの片棒を担いだメディアの問題は、ジャニーズ事務所の解体が決まってから総括の対象となっていくことでしょう。

 さらに、そのような事務所の実態があることは社会的にある程度知られていながら、そのような事務所に愛する我が子を入所させ、性加害の現場となった「合宿所」に寝泊りさせジャニー喜多川さんやその関係者らの性欲の具にされた件もあります。これは実質的に人身売買にも近しい問題にもなり得ます。というか、我が子たちが望まない性加害の対象となったという犯罪性を、未成年である子どもたちはともかく親たちは本当に知らなかったのでしょうか。

 この辺がなぜいままで沈黙してきたか、ジャニーズ問題の深い病理があるように感じます。仮に、私が自らの子どもを問題あると分かってそういうところに「頑張ってこい」と背中を押すかと言われれば、それは無い。でも、親が我が子をスターにしたいとか、ジャニーズや芸能界にもともと憧れていたとか、経済的に困窮しているので子どもを芸事の世界に入れてでもカネが欲しいとか、いろんな感情や欲望が渦巻いていたのだとしたら、これもまた、ある種の人身売買に積極的に加担したことになるのではないか、とすら思います。

 その結果、冒頭のようにケーキ屋さんでSnow Manのクリアファイル配布キャンペーンでジャニーズ事務所のタレントが起用されると、Snow Manの女性ファンが各所から集まってきて、黙々とグッズをもらうために行列を作り、そして私が巻き込まれるという悲しい状況があります。これは明らかに男性、それも未成年の性が商品となり、消費されている構造に他なりません。

 言わば、現実はかくも凄惨な性犯罪の老舗も同然であるのに、虚構の世界では煌びやかに着飾り、女性たちを魅了するダンスや話術に磨きをかけた、躍動する若者たちの青春だったとするならば、そのような推しの世界もこのまま存続していて良いのでしょうか。

 夢を見させられたファンもその世界の存続を願う時点で共犯、というのは気が引ける表現ですが、一連の事態が明らかになり大騒ぎになりながらも、それでも健気にジャニーズ事務所の若いタレントたちを応援する女性の「推し」そのものが病理であり問題なのだとも言えます。悪く言うと「推しは尊い」とか一心不乱に応援することがファンの在り方で、その動機や対象の良し悪しが問われないというのは、見方を変えれば事業者側からすれば都合の悪い話を見ないでカネを積んでくれる単なるカモの話です。絶対に成就することのないアイドルとの交際を夢見る女性の心を掴む悪の運営ノウハウそのものであって、見返りのない推しに金を使わせるアプローチは疑似恋愛のホスト界隈とさほど変わらない悪質さを秘めていると言えます。

 また、ジャニーズ事務所が性犯罪の巣窟であったから反社会的勢力であり取引停止を進めていくのだとスポンサー筋がイキリ立って、自社のブランドや商品・サービスからジャニーズタレントの起用を停止するという話も同時に出てきました。そうですか。

 でも、人権デューデリジェンスの観点から言うならば、性加害そのものをジャニー喜多川個人の問題だと押し付けて終えられる時期はとっくに過ぎ、最終バスは逃しました。こうなると、ジャニーズ事務所の事態改善に関しては「駄目だと思うから取引を止めました」というだけでは駄目で、継続的に取引先や起用メディアが関与して監視を続けないと、被害救済や再発の防止にならない虞はあるのですよ。したがって、ジャニーズ事務所が健全宣言を出してもそれをそのままには受け取らず、そこで出た行動改善指針の通りにちゃんと改善されているのか、また過去の被害者にも適切な補償が行われているのかを見届けないといけません。

 性加害も枕・闇営業も暴力団とのかかわりも、世の中の仕組みであり、必要悪だからという謎の理屈で許容されてきた背景は、やはり人間の欲望の中心である、カネとセックスとにダイレクトに関係しているからに尽きます。テレビ局も広告代理店もスポンサー企業も、うすうすそのような事情があることは承知したうえで、なお、リスクよりもメリットが大きいと判断して大金を払いイメージキャラクターに起用し続けてきていることが根幹の問題だと言えます。中には、ジャニーズ事務所から性的な饗応を受けた経営幹部がテレビ局の中に少なくなく、本当の意味で共犯の人も複数いるのかもしれません。

 一連の問題が、みんなでジャニーズ事務所だけを袋叩きにして終わりとならず、もうちょっと事実関係を広く見据えて「うすうす全員気づいてましたよね」という類の案件も一緒に整理して業界全体を健全化する、あるいは、少なくとも「問題だ」となったらきちんと声を挙げられるようにする社会にしていったほうがいいと思うんですよ。綺麗事ではなく、今回の問題こそ、ちゃんと着地させないとうっかりケーキも安心して買えない社会になってしまうと感じますのでね。

#ジャニーズ性被害問題(山本一郎「共犯」)

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#ジャニーズ性被害問題(テレビ局が煮え切らない態度を取っている)

#ジャニーズ性被害問題(日本商工会議所小林会頭「タレントは悪くないと思う。企業がタレントと契約をして事務所を変えてもらうなどの措置もしうる」)
#ジャニーズ性被害問題(経団連十倉会長「タレントが活動を続けられるような対応も検討すべき」)

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