中央銀行の仕事は、曲がりくねった道でバックミラーを見ながら車を運転するようなもの――。日銀内でそんな言葉を聞く。
福井総裁は「私どもにとって市場は鏡。双方向のコミュニケーションができる」と表現した。
日銀は丁寧な説明と適切な政策で市場と国民の信頼を得て、政府は信頼された日銀の判断を尊重する――。そんな健全な関係づくりは、この五年間で十分進んだとはいえそうもない。
二〇〇七年夏以降、サブプライムローン問題で欧米金融界が揺れる中で、日本の市場に資金調達などの混乱はない。日銀には「欧米の主要中央銀行から市場への資金供給などについて連日、問い合わせがある」(幹部)という。
(日経新聞朝刊)