エコ経営 極意を聞く――永守重信社長
もったいない主義で企業再生(上)
「3Q6S」の基本は環境経営の指針(中)
ケチといわれるかもしれませんが、私たちは子供の頃、「ご飯粒1粒だって残すんじゃない」と、母親からよく叱られたものです。しかし今ではご飯を平気で残して捨てる時代になってしまいました。だから、当社の社員食堂では、大、中、小3種類のサイズのご飯茶碗を数年前に導入しました。
要は贅沢な感性を持つ人間を採用しないことだと思っています。それは、行動や持ち物や仕草でわかります。ハンカチを出す。そのハンカチのしまい方できちんとしている人間かどうかがわかるものです。
魚を食べさせたら、その人間の資質がたいていわかるとも言われています。残したり、捨てたりする、これはダメですね。
評価できるのは気働きができる人間だと思います。たとえば雨降りのときに、会社に入る際に入り口のマットで靴を拭いてから入る人間。こういった気遣いはとても大事です。余計な掃除をしなくて済むし、床の水滴で足を滑らせることもないでしょう。
工場を見に行くと、2種類の社員がいることに気づきます。見分けるのは簡単。通路などにゴミや部品等を置いておいて、通り過ぎる社員を観察するんです。ゴミや部品が落ちていることに気づいてすぐに拾う社員と、足で踏みつけて見えなくする社員がいます。
些細なことのように思えるかもしれませんが、どちらの社員がどれだけいるかで、その企業は大きく変わってくると思います。
トイレに行って便器周りが汚れている、そんな会社は経営状態がおかしくなっています。どこまで「品質」に対して意識をしているかがそういうところに現れるものです。
3Qとは「Quality Worker(=良い社員)」「Quality Company(=良い会社)」「Quality Products(=良い製品)」を意味し、この3つのQを実現するために、整理・整頓・清潔・清掃・作法・躾(しつけ)の6つのSを実行するのです。
当社では、この精神を入社前から徹底的に叩き込みます。