2008-08-27 ■ 宗教 宗教 女性の力と感謝の心 作家 長部 日出雄 遠い遙かな古代から、しっかり者の女性こそは頼りない男が多いこの国を根底において支えてきた最大の力であり、また食事の前にかならず「頂きます」と唱えて手を合わせ、他人に対しては「おかげさまで」「有り難うございます」と、感謝の心を言葉と態度で謙虚に示すのが、われわれの最良の伝統であったのに、この国が誤った道に進んだのは、無知から生ずる男尊女卑の弊害と、周辺の他国を侮り卑しむ高慢さが、その極に達した時代であった。 (日経新聞夕刊)