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経済危機が2009年中に終息するとは到底考えられない明確な理由|野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む|ダイヤモンド・オンライン

 この目的のためにしばしば用いられるのは、アメリカの住宅価格データである。すなわち、住宅価格におけるバブルが今回の金融危機の基本的な原因であるとの認識から、「それが正常と考えられるレベルに下落するまで調整が続く」とする考えだ。

もう1つの重要な目安となるのは、アメリカの国際収支における経常収支の赤字だ。

 これは、主としてアメリカ国内の消費支出が減少することによって実現するはずである。それはアメリカの輸入を減少させ、アメリカへの輸出を減少させる。したがって、アメリカへの輸出国(とくに中国と日本)の有効需要を減少させることになる。これが、今後生じる実体経済の調整過程の中心的な部分である。

【注1】多くの予測がオバマ政権による経済刺激策に期待を寄せ、これによってアメリカの景気が回復すれば問題は終息するとしている。しかし、アメリカの景気回復は輸入を増大させ、経常収支赤字を拡大させる。したがって、「経常収支の縮小が問題終息の基本条件」という立場からすれば、むしろ逆行措置となるわけだ。

円との関係で言えば、ドルの減価は進行している。したがって、日本からアメリカへの輸出は減少するだろう。しかし、中国は人民元の切り下げ誘導を行なっているようである。これは、アメリカと中国の貿易の調整には逆方向の影響を及ぼすことになる。