松本清張 様々な再評価
(日経新聞朝刊)
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動機面を重視して、犯人の人間性を形作った貧困や差別といった社会構造を描くことに重点を置いた
「だが、その繁栄は、先の戦争(死者のまなざし)を棚上げして、米国流民主主義と経済至上主義に滑り込んだという思想的ごまかしを土台としていた」。
「『砂の器』では多くの人が和賀を勝ち組とみなしていたが、80年代後半以降は、社会的成功やそれに基づく幸福がどこか底の浅いものであることをみんな知ってしまった。例えばホリエモンや小室哲哉の成功はどこかむなしい、というふうに。金融バブルがはじけた『ポスト虚構の時代』の今は、清張が鋭い洞察力をもって暴いた社会の虚妄性・欺瞞(ぎまん)性は、犯罪を犯してでも隠すべきものどころか、自明の前提になった」
「階級構造の底辺には『階級以下』の存在、つまり『アンダークラス』」が大規模に形成されている
人間が社会に承認されず、犯罪によって「成り上がる」ことすら不可能な社会。