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【幕末から学ぶ現在(いま)】東大教授・山内昌之 山尾庸三

鎖国の日本から英国に留学した5人の若者は、外国艦隊の長州攻撃計画を知って苦悩した。考え抜いた末、後に井上馨伊藤博文と名乗る若者たちは、近代陸海軍の現実をこの目で見て攘夷(じょうい)の無謀さを藩に説くために急遽(きゅうきょ)、帰国の道を選ぶ。こうして2人は、政治と外交の世界で明治新政府をリードする政治家に成長する。

 しかし、自然な任務分担の形で英国に残り、学業を続けた3人の偉さについて知る現代人は多くない。山尾庸三はグラスゴーの造船所で働きながら、アンダーソン・カレッジで工学を勉強した。他方、井上勝はロンドン大学などで鉄道・鉱山技術を学び、遠藤謹助も造幣技術を習得している。

 伊藤博文井上馨らの政治家は、有能な専門家を活用する術を知っていた。政治家は、優秀な能力をもつ人間を活殺自在に使う点で器量が試される。良い官僚まで叩くと、政治は成り立たない。