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久保利 英明 氏 いよいよ始まる裁判員制度

裁判員の役割とは、生活者としての直感や常識に基づいて、裁判官が理路整然とした論理に見えて実は荒唐無稽な事実認識に陥ることを是正するところにある。検察官の主張が合理的な疑いを入れる余地がないほどに証明されているかどうかが判断の対象であって、いわば検察官の立証活動のモニタリング(監視)を求められているのである。さらに量刑については検察官と弁護士がそれぞれの立場から量刑基準や減刑の理由を主張するから、そのどちらに説得力があるかを一市民として判断すればよい。

 そもそも、現在の刑事裁判が万全で、正しいと言えるのであれば、裁判員制度導入は不要である。しかし、実際には裁判官の事実認定力や、人権感覚の社会常識との整合性に大きな疑問が投げかけられているからこそ、審議会も根本的な改革を求めたのである。

20代から60歳過ぎまで先輩裁判官を見習ってひな壇の上から被告人を見下ろし、検察官の起訴状通りに判決を下してきた裁判官に、事件を多面的に眺め、検察官の調書の裏を読み、いかなる取調環境で作成されたものかを感じ取り、疑いをもって証拠を分析し、「疑わしきは被告人に有利に判決せよ」と言う方が酷なのである。

英国、米国においては有罪か無罪かを裁判官以外の市民だけで決定する陪審制が、大陸法系各国においては裁判官とともに判決を下す参審制がそれぞれ採用された。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090519#1242695912
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090518#1242597901