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【幕末から学ぶ現在(いま)】東大教授・山内昌之 後藤象二郎

 政治家に大事な資質は、ここ一番の大勝負に命を懸ける度胸であろう。自らの政治信念を実現するために伸(の)るか反(そ)るかの勝負に出る気概をもってこそ宰相の器というものだ。

 日清戦争当時の外相の陸奥宗光は後藤を指して、「明治世界の産物でなく、中国で混乱を極めた晋末・六朝か、唐末・五代あたりで成功すべき“怪傑”がたまたま日本に現れたのだ」と評したことがあるが、うまいことを言うものだ。後藤の豪快さは、死が近づくと、白楽天長恨歌を朗々と吟じたあたりにも発揮される。