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タカラヅカにも草食系二枚目? 宝塚宙組『薔薇に降る雨』

 ジャスティンの魅力は、「オレについて来い!」という肉食系な男らしさではない、イヴェットもへレンも、おそらく恋敵のグザヴィエ(悠未ひろ)さえも、誰も傷つけまいとする優しい気配りにある。
 これぞ今、人気急上昇中の草食系男子。甘いマスクの大和悠河には、こうした21世紀型の二枚目がよく似合う。

 対するイヴェット(陽月華)が、これまたじつに現代的なヒロインである。降りかかる現実に即応し、自ら判断して人生の進路を決められる芯の強い女性。

 彼女は一時の激情に流されたりはしない、甘くない現実のなかで自分のやるべきことは何かを冷静に判断できる女性なのだ。しかも、その判断に責任を持ち、受け入れて人生を楽しもうとする強さもある。そこが、客席の多くの女性の共感を呼ぶであろう、このヒロインの一番の魅力である。

 そのイヴェットが最後の最後、アメリカに渡るジャスティンに共についていくという、大胆な決意をする。

 7年たっても少年のままのジャスティンと、少女から大人の女性へとガラリと変貌するイヴェット。その対照こそ、男と女の違いだ。

 男は優しく、女は強い。男はいつまでも夢を追い続け、その男との関係を女のほうがリードする。