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【この本と出会った】東芝相談役・西室泰三 『論語』金谷治訳注

 幼いころ、毎朝、父の導きで食事前に30分ほど素読をした。小学校高学年の兄姉と一緒に、就学まで2年間、はじめは『大学』、続けて『論語』を、意味も分からないまま繰り返し音読した。それがその先の知識の発達と日本語習得の基礎になっていったが、当時はそれを知るよしもなく、朗々と大きな声で読むことがただ楽しかった。

父はときにうなずき、ときに「そこはこうだよ」と正しながら、いま思えば夜分まで仕事に追われる忙しい日常の合間に、早朝のひとときを子供たちと過ごしてくれた。それがわが家の一日の始まりだった。