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記者の目:民主党の非官僚的な志に共鳴した国民=野沢和弘

大手金融機関の役員にはこう言われた。「高賃金やポストだけでは社員のやる気を維持できなくなった。何のために働いているのか、社会の役に立っているのか、と根源的なところに社員が目を向けるようになってきた

 テストで高い偏差値を取って進学校へ入り、医者や官僚になるか大企業に就職して、そこでもより高いポストを目指して競争し……という「単線型の成長・成功モデル」を理想とする価値観は、中央のエリート官僚主導の国家づくりとシンクロナイズ(同時化)して繁栄を築いてきた。では、それで豊かさの実感が得られたのか。そうした疑問は高度成長のころからジャーナリズムが投げかけてきたものの一つだが、雇用や医療や介護のひび割れが足元まで広がり、豊かさの実感どころか日々の生活に窮するようになって、民意のうねりが一気に顕在化したのだと思う。

多様なライフスタイルや価値観を尊び、失敗しても何度でも挑戦できる「複線型の成熟モデル」を志向するマグマが、官僚に支えられた自民党長期政権を押し流したように思える。