「高田屋嘉兵衛に対して、感謝と敬意を表するため、全乗組員は殊のほか力を入れて、「大将、ウラー!」を三唱した」
「明敏な嘉兵衛の頭があつたればこそ、物事について全然正反対の概念を持つ二つの民族が、それぞれの頑強な希望をまげて、共通の利益のために合意出来たのである」
≪日本には、あらゆる意味で人間といふ崇高な名で呼ぶに適はしい人々が、偉大な国民的義人がゐて、その真似をしてもわれわれとして少しも恥しくないのみか、却つて大いに賞讃される程である≫。
≪嘉兵衛は不覚にも顔中が涙でくしゃくしゃになった。(中略)/ウラァ、ぢあな/と、何度もわめいた。やがてディアナ号は、水平線のかなたに没した≫