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『鏡の国のアリス』の「赤の女王」が言い当てた日本経済低迷の真相 | 辻広雅文 プリズム+one | ダイヤモンド・オンライン

 人は仕事において、勉学において、スポーツにおいて、自分の実力が遺憾なく発揮できることを第一に願うだろう。レースやテストで実力以上の結果を願うのは人の常ではあるが、それはまぐれかインチキでしか果たされない。一方、体調管理の失敗などで、実力を発揮できないほどくやしいことはない。

 一国の経済が実力を常に発揮することは難しく、潜在成長率と実際の成長率は、当然乖離する。この乖離幅を、GDPギャップと呼ぶ。GDPギャップ=潜在成長率−実質成長率である。このギャップをいかに埋めるかが、政府の経済運営の目標になる。実力を遺憾なく発揮させてやる手腕を問われるのである。

GDPギャップはマイナス4.2〜4.3%ということになる。この穴をごくごく単純に埋めるとすれば、GDPを500兆円とすると、その4%である20兆円の財政支出を行う、ということになるのである。

 さて、日銀レビュー9月13日号には、マラソン選手の例えを持ち出し、潜在成長力と実質成長力について記述している(以下は要旨)。「その選手の記録は、実力(潜在能力)に加え、その日の調子(体調や精神状態)に左右される。仮に、芳しくない記録が続いたとして、それが選手の実力が衰えたからなのか、たまたま調子の悪い日が続いたのかは、簡単には判別がつかない」――。

私たちの経済を見る眼はこれまで、あまりに前者に偏っていなかっただろうか。短期的な景気の方向性ばかりに注意を払い、中長期的な実力水準の動向を軽視してきたのではないか。

 実際、日本の潜在成長率は、右肩下がりである。1980年代後半は4%程度だったが90年代に入って2%を割り、90年代末には1%以下に低下し、2000年代にわずかに復調したが、最近再び悪化して1%弱と見られている。

 日本の製造業の労働生産性は80年代から現在まで余り変わらない。ところが、サービス業の生産性向上は3.5%から0.9%に激減している。

 日本の産業構造は老朽化していたにもかかわらず、規制その他によって淘汰、再編が進まなかった。ゾンビ企業の存続を許し、サービス業の低い生産性はさらに低下する一方で、資本と労働が生産性の高い産業部門への移転が阻まれた。

日本の政治は与野党ともに、短期的な需要喚起のための財政投入を繰り返すだけで、この本質的な問題にこの20年来いっこうに取り組もうとしなかった

「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」

「たかだか1%弱の潜在成長率でも、それを維持するには全力で構造改革に取り組まなければならない。さもなければ、さらに低下する」――。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080710#1215639601