この1ヶ月で最も感じた事は日本の政治には「勘違い」が多すぎるという事である。
英国の保守党と労働党との間には基本的に富裕層と労働層を支持基盤にする階級的な違いがあり、両党はそれぞれの支持基盤を基に中間層を取り合う事で政権獲得を目指す。米国の共和党と民主党は「政府の関与を嫌う小さな政府信奉者」と「政府に政策の実行を求める大きな政府信奉者」をそれぞれの支持基盤とし、共和党はキリスト教の一夫一婦制を重んじて妊娠中絶に反対、民主党は女性の社会進出を認め、中絶に寛容な傾向を持つ。
ところが日本は英国のような階級対立も米国のような政策的対立もないまま自民党の一党支配が続いてきた。
従ってそれまで日本の政治に本当の意味での保守も革新もなく、官僚と自民党と財界とが一体となって計画経済を推し進める仕組みが全てであり、労働組合も野党もその構造に組み込まれていた。
日本が高度経済成長を達成して世界第二位の経済大国に上り詰めると、この構造に慢心と腐敗が生まれた。冷戦の終焉で世界が変わると日本の戦後構造は機能しなくなり、坂道から転げ落ちるように日本は転落を始めた。新たな統治構造を作る必要が生まれ「政権交代」が叫ばれるようになった。
自民党が真に二大政党の一方の軸になると考え、さらにこれまでの社会主義的体質から脱皮しようとするならば、まずは官僚統治に代わる仕組みを作るために民主党と手を組み、国権の最高機関と呼ばれながら官僚機構の手のひらに載せられてきた国会を本物の最高機関にする改革に取り組むべきである。