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ジョージ・ソロス 特別寄稿 「世界を覆う危険な金融保護主義 “二番底”という我々の未来」 | 2009年の教訓 2010年の課題 | ダイヤモンド・オンライン

 1980年以降に進んだ金融市場のグローバリゼーションは、金融資本が世界中を自由に動き回ることを可能にし、課税・規制が困難になった。これによって金融資本は特権的な立場に置かれた。各国政府は、自国民が何を望んでいるかよりも国際資本が何を求めているかに多大な関心を注がざるをえなくなった。個別の国のレベルでは、国際資本に対する抵抗力を示すことは困難だった。


 だが、こうして登場したグローバル金融システムは根本的に不安定なものだった──金融市場は、好き放題にやらせておいても安全だという誤った前提に立脚しているからである。グローバル金融システムが崩壊したのも、そしてそれを再び元の姿に戻せないのも、それが原因なのだ。

 グローバルな市場にはグローバルな規制が必要である。だが、現在行なわれている規制は国家主権という原理に根ざしたものだ。

 これが意味するのは、いったん停止したメカニズムを再起動するだけでは十分ではない、ということである。われわれはこれまで存在したことのない規制メカニズムを創造しなければならない。

現状では、各国の金融システムが、その国の政府によって維持・支援されている。だが各国政府がもっぱら気にかけているのは自国経済のことである。これによって、金融保護主義とでも呼びうるものが生まれており、グローバル金融市場を混乱させ、破壊させかねない脅威となっている。

 したがって、規制は、その範囲という点において国際的なものとなる必要がある。さもなければ、グローバル金融市場はレギュラトリー・アービトレージ(規制裁定取引によって破壊されてしまう。つまり、企業は規制環境が最も緩やかな国に移転し、それ以外の国は、とうてい抱え切れないほどのリスクに晒されてしまう。

 グローバリゼーションが成功したのは、それによって各国が規制の解除を余儀なくされたためである。だが、このプロセスを逆転させてもうまくいかない。

 1930年代、貿易保護主義が、ただでさえ悪い状況をいっそう悪化させた。今日のグローバル経済においては、金融保護主義が、当時よりもさらに大きな危険となっているのである。

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