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中曽根康弘元首相、迷走する政治に最終提言! 「凶弾も恐れない気概が今の政治家には必要だ」|中曽根康弘 戦後政治総決算インタビュー|ダイヤモンド・オンライン

 二大政党制が本格的に根付いたとは、まだ言えません。民主党は政策が安定していないし、支持勢力の恒久性も確立されていないから。


 政権をとった民主党も、復活を狙う自民党も、努力をしているのはわかります。ただ現実には、先の衆議院選挙によって2つの大きなブロックができただけの話であり、今の政治体制は、長期に続く国民の本当の意志の上にでき上がったものではない。

 民主党にしても、元をただせば過去の自民党の分派に過ぎない。今までは一緒だったものが、2つに分かれて対立しているだけです。民主党自民党も、新しい時代に対応するための内部的変化が自由に起き、それを昇華できない鬱屈の状態になっています。そういう状況だからこそ、片割れ分裂が少しづつ起きているのです。


 今度の参議院選挙の結果いかんによって、再び政界再編が起きる可能性は十分あるでしょう。現在の新党の動きは、選挙結果を先読みして再編の先駆を期しているものです。

 政治家は、国民の判定を受けることによって自立し、成長していくもの。今の若いリーダーたちは、本格的な選挙を2〜3度経験する必要があるでしょうね。政治家にとって、選挙はそれほど重要なもの。だからこそ、政界では政治家の当選回数が重視されるのです。

――中曽根さんは、首相在任中の1986年に衆参同日選挙で大勝した経験をお持ちです。政治家が厳しい選挙を勝ち抜くために、必要な資質は何でしょうか?


 衆議院選挙の場合なら、解散総選挙に打って出る政治指導者の決断力の強さ、そして政治の進路に対する強い確信ですね。国民の支持を得るためには、自分の信念や決意を深く印象づけなくてはいけません。それはまさに「信頼される力」です。

 お父上の鳩山威一郎氏(元外務大臣)は、私の東大(東京帝国大学)の同級生でした。(由紀夫首相を)祖父の鳩山一郎元首相と比べれば、雲泥の差と言ってもいいかもしれない。一郎氏は、明治・大正を通じて鳩山家が持ち続けていた政治的な遺伝子を、明確に持っている人でした。


 彼は、軍部に対抗して、官僚政治家ではなく政党政治としての真骨頂を、政策においても政治的態度においてもはっきり持っていた。しかし、孫の由紀夫氏になると、やはりそういう面は見えなかった。

 彼らには、「暗殺も凶弾も恐れず」という気概があり、政治に身を奉げる気持ちや、一心不乱に努力する姿勢が、今の政治家とは比べ物にならないほど強かった。

 戦後の首相では、石橋湛山さんも印象的でしたね。彼はいわば「禅坊主」のような人で、政治家としての権威を持つ前に、人間としての権威を持っていた。

――今の時代に、それほどの気概を持った政治家はいるでしょうか?


 小沢君(小沢一郎・前民主党幹事長)に、そういう気概を少し感じますね。彼には明朗さはないけれども、東北人特有の不敵さや根性を持っている。何回たたかれてもめげない。あれは、東京人にはない資質でしょう。しかし、暗い陰がつきまとう。明るさが見えない。

――鳩山首相と共に幹事長を辞任した小沢さんは、かつて核武装論までタブー視せずに主張したほど、ポリシーの強い政治家でした。しかし、政権をとった後はどちらかというとそういうイメージが薄くなり、政策面では社会民主的な主張が多くなっていた気がします。なぜでしょうか?


 基本的なポリシーは変わっていなくても、国民に対して「変化」を見せていたのでしょう。時代は絶えず変わり続けるもの。政治家もそれに合わせて変わっていかないと、時代に捨てられてしまう。だから、政治家は時代に鋭敏でなくてはいけない。小沢君は、そういうセンスを持っているのだと思います。

 しかしながら、民主党が政権をとるために社民党との連立を策したが、自主独立の要素も示さなければ駄目だった。


「不易と流行」ではないが、私も首相時代にはよく「風見鶏」と言われたものです。風見鶏は足許はしっかりしていて、体はいつも風の方向を向いている。不動の上に柔軟な対応も見せる。政治家には、時としてそういう姿勢も必要です。

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