https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

政界再編が準備されつつある

 では何故「俺も辞めるから」という話ではなく「道連れ」にされた話が表に出たのか。そこに今回の政局のカギがある。一つは小沢氏に自分から辞める理由はないからである。検察と戦っている人間が非を認める訳にはいかない。だから他人から辞めさせられる形にした。しかし辞任を迫ったら逆に辞任させられたというのは実に「しまらない」話である。そして「道連れ」は小沢氏を決定的に悪役にする。それが狙いだったのではないか。

 普通の人間は自分の正当性を主張する事だけを考える。しかし政治家は自分のことより政治的成果を考える。感情や名誉欲に捕らわれたら政治家など出来ない。政治的な勝利を得るためには不名誉や屈辱も厭わない。それが政治家である。目的さえ達すれば不名誉や屈辱などいつでも回復出来る。

私は実はメディアの言うほど「民主党惨敗」になるとは思っていなかった。投票率は下がるから組織選挙となり、無党派の票は大きな影響力を持たない。すると小沢氏の力で業界団体を味方につけた民主党がそこそこの票を取る。ただ影響力は小さいと言っても無党派層民主党ではなく第三極に向かう。第三極が伸びる可能性はある。創価学会と業界団体の支援がなくなった自民党はやはり厳しいが、それでも強行突破してくれれば戦いは有利になる。民主党単独過半数は無理で、選挙後は第三極と公明党自民党につくか民主党につくかの政局になる。

党内を分裂模様にして国民の目を引きつけ、野党の存在を見えなくするのである。そのため小沢氏が悪役になった。小泉時代の「抵抗勢力」の役回りである。「道連れ」は実は小沢氏が考えた知恵ではないかと私は思う。鳩山氏の意向を受けた菅氏が「脱小沢」の姿勢を見せると、民主党内反小沢派が一気に活気づいて「脱小沢」の流れが固まった。

 「脱小沢」をやっている人たちは本気で「脱小沢」を図っているかも知れない。小沢氏が追い込まれる可能性もある。しかし本当にそう思われないとこの仕掛けはうまくいかない。窮地に陥っても参議院選挙の目的さえ達すれば、そこから先はまた新たなステージが生まれる。

 小沢氏の力で組織票を固めた民主党がさらに「ニュー民主党」の力で無党派層も引きつければ民主党単独過半数獲得が現実的になる。そこで何が起きるか。次の衆議院選挙で自民党が政権を奪っても、参議院過半数民主党に握られている限り全く無力の政権になる。それが参議院選挙の時点で分かってしまう。自民党政権交代を実現しようとする意欲が失せる。

民主党の中が「政治は生活が第一」を掲げた分配・積極財政路線と「最小不幸社会」を掲げた成長・緊縮財政路線になんとなく別れている。これで政権交代を繰り返せば、自民党は万年野党のままか、或いはどちらかの側に吸収されていく。そこで民主党を二つに割れば「政界再編」である。自民党民主党ではない新たな二大政党が生まれる。

 小沢氏は「大連立」の時も非難轟々だったが、現在はそれ以上の悪役である。しかし私の想像通りなら、成功すれば政治史に残る大事業を成し遂げた事になる。どんなに非難されようとも本望であるに違いない。

他の政治家は目の前の課題だけしか見ていないが、小沢氏はその先を見ているためになかなか他人に理解されない。あえて民主党に分裂の芽を作るのも、強気の候補者擁立を図るのも、全て「政界再編」を考えた上での事だと私は想像する。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20090228#1235815806