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中曽根康弘元首相が示す“混迷政治脱出”への光 「政治家諸君、日本人であることの自信を持て!」|中曽根康弘 戦後政治総決算インタビュー|ダイヤモンド・オンライン

基本的には、対米および自由世界を中心とした安全保障というベースに立つべきでしょう。それは、いわゆる「保守の純粋性」と重なるからです。


 現在は、中国も自由社会の理念を尊重して、対外政策を運営している。その限りにおいては、日本も善隣友好の理念を持って、アジアの発展や発言力の増大を目指し、隣国に協力していくべきでしょう。東アジア共同体構想」も賛否が分かれているが、私も長期的な理念としてはそれに賛成です。それを一緒に推し進めていく相手は、やはり中国でしょうね。

 その経験から言えば、外交は政策よりも人間的な信頼感から得られる結果の方が多い気がします。小泉君(小泉純一郎元首相)のときもそうだが、今の政治家は外務省に頼り過ぎている気がする。官邸主導こそが外交の本旨であり、外務省は補助機関に過ぎないのです。


 そういう哲学を持った首相は、これまで私以外にはほとんどいなかった気がしますね。田中さん(田中角栄元首相)はそれに近いポリシーを持っていたが、自覚を持ってやってはいなかった。あのときは、大平さん(大平正芳元首相)が外務大臣として入閣していたから、意識的にはやりづらかったのかもしれませんが。

「平和福祉国家」「独立自尊国家」という2つの国家像を理想に掲げるべきでしょう。

 現在の民主党がやっているように、内需拡大政策は確かに必要な時期もある。しかし長期的には、内需拡大に過度に目を向けるだけでなく、外にも目を向けるべきでしょう。


 途上国支援は、支援した国々が発展した後に、日本も莫大な経済効果を期待できるという意味においても、重要な政策。日本も明治以来、先進国の経済をモデルにして発展してきました。


 そして、東京五輪で経済成長がピークに達した後、今度はアジアの途上国に対する支援協力に乗り出しました。それまでは日米間の貿易摩擦が最も重要視されていたが、繊維・自動車問題を抑えて、アジアに本格的に目を向けたのです。


 今では、これまで援助してきたアジア諸国の多くが経済発展を遂げています。ただし、科学技術や文化では、日本はそれらの国に対してまだまだ先行している。アジアに対して善意を持って助言や協力を行なうことは、日本経済の発展のためにも、ますます重要になると思います。

――それに取り組むのは、並大抵のことではないでしょう。中曽根さんは以前、著書の中で「首相の思いは一種の狂気だ」と語っていました。それくらい気概のある政治家はいるでしょうか?


 小沢君(小沢一郎・前民主党幹事長)ならある程度はできるでしょう。だけど、新首相の菅君(菅直人)は多面的過ぎて個性が弱いから、少し不安が残る。

 政治においては、日本が国際国家という自覚に立って、国際協力に挺身できる体制を整えることが大切です。同時に国内では、教育や福祉の充実を通じて、そういった国際的な考え方を、国民1人ひとりが持てるようにするべき。


 英国が大西洋の要であるように、日本は太平洋の要です。周囲を海に囲まれている日本は、内に籠もるのではなく、国際国家として生きていくしかない。貿易のみならず、政治や文化においても、日本の価値観が世界から共感を得られるように、アピールしていくことが大切でしょう。