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【高橋昌之のとっておき】「脱小沢」の菅政権は短命の予感

人事全体をみると、小沢一郎元幹事長のグループを政府・党の主要ポストには起用せず、基本的には「脱小沢」の態勢を築いたといえるでしょう。

 小沢氏に対しては、代表代行への就任を打診し、「挙党態勢」を否定していないことをアピールしたものの、小沢氏はすぐに固辞し、実現しませんでした。小沢氏周辺は「形だけの挙党態勢など小沢氏が受け入れるはずがない」と解説しますが、「形だけ」というのはだれの目から見ても明らかでしょう。

したがって、菅政権の前途は極めて多難だといわざるをえません。

衆参ねじれ国会では、野党対策が政権の命運を左右することになりますが、党内が二分された状態では野党の協力を取り付けるのは困難です。野党は与党にとって代わって政権をとろうとしているわけですから、弱体化している与党を助けるようなことはしないはずです。自民党をはじめ野党各党は、政権奪回を目指して与党を追い込もうとするでしょう。

政権基盤が弱いことは外交でもマイナスに働くということです。尖閣諸島付近で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、中国が強圧的な姿勢をとり続け、それに屈する形で24日に漁船の船長の釈放を決めたのは、その典型例です。尖閣諸島が日本の領土であることは、歴史的にも国際法的にも疑いのないところですから、日本が譲歩する理由は全くありませんから、これは明らかに敗北です。


 外交は国益をかけて戦う場ですから、日本の政権が弱いと思えば他の国は強気で臨んできます。そして、それを迎え撃つ日本の政権が弱体であれば、押し切られてしまいます。それをみた他の国も日本への要求をエスカレートさせるでしょう。外交で敗北が続けば、国民の批判は強まり、政権はさらに弱体化するという「悪循環」に陥ります。

したがって、菅首相が「脱小沢」の路線をとり、挙党態勢に踏み出せなかったことは、党内運営だけでなく、野党対策、外交を含めた政権運営全体を考えても、明らかに失敗だったというのが、私の結論です。

ただ、私が懸念するのは、その間、日本の危機が深まり、国益を損なってしまうということです。