■ - d1021の日記

日本は一部（米、蒟蒻など）の関税が高いだけで平均では10％程度、EUの農産物関税はその倍ですね。規模を大きくすれば効率が高まるというのも安手の経済学です。市場に任せれば、デフレ状況なので生産費を割り込まないかぎり兼業の零細農家が生き残り、米専業農家から潰れていくんです。

農業現場を無視する経済｢理論家」は、戸別所得補償を経営規模で配分すれば土地が集積すると言うが、耕作放棄地の多くは傾斜のある中山間地。またバラバラの土地を集めて請負耕作をしても、機械化のメリットが効きません。逆説的ですが、農地の所有権を制限して強制しないと土地集積できないんですね。

規模拡大が有効な分野は外食チェーンなど大量のロットを必要とする分野です。この場合でも単独の大規模経営では限界があります。結局、大規模経営の場合でもスーパーなど直接顧客を持って売っている以外は、一定価格で引き取ってもらうには産地形成という地域農業の視点が必要なんです。大変な世界です

EU等とのFTA・EPA交渉でもめるのは自動車や部品の安全性基準など理由は様々で農産物が障害だという報道はかなり恣意的です。メディアはスポンサー＝製造業＝効率的、農業＝非効率的というイメージを作ろうとしていますが、経営者精神が衰え日本の産業競争力が落ちている事が問題なのです。

農村の現状と取り組みについて「食から立て直す旅」、農業戦略について「日本再生の国家戦略を急げ！」を書く過程で農村を見てきましたが、高齢化の臨界点を越えた農山村の崩壊が始まっています。耕作放棄地が農地を虫食い状に穴を空け地域自体が壊れる、それが麓に降りてくるのです。見ると怖いです。