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【消えた偉人・物語】小学国語読本 牛若丸 声に出して読みたい名調子

 昭和13年刊「小学国語読本」(尋常科用・巻三)に「牛若丸」がある。口語体ではあるが文章が引き締まっていて無駄がない。声に出して読み返しているうちに自然と覚えてしまう素敵(すてき)な魅力を備えている。

 《月 の よい ばん でした。牛若丸 が ふえ を 吹きながら あるいて ゐました。五でう の 橋 に 来ます と、「まて。」と いふ もの が あります。見る と、大なぎなた を もった、大きな 男 が 立って ゐます。牛若丸 は、「だれ だ。 なん の 用 か。」と いひました。「べんけい だ。その 刀 が もらひたい。 よい 刀 を 千本 あつめる つもり で、 九百九十九本 は 取った。もう 一本 で 千本 だ。 さあ、刀 を 出せ。」


 牛若丸 は びく とも しません。「刀が ほしい か。ほし ければ、取って みよ。」と いひました。べんけい は、大なぎなた を ふりまわして、 きって かかりました。牛若丸 は、ひらり と らんかん の 上 に とび上りました。


 べんけい が 上 を きる と、牛若丸 は 下 へ とび下ります。 右 を きれば、左 へ とびのき、左 を きれば、右 へ とびのきます。 強い べんけい も だん●● つかれて 来ました。 (以下略)》

●●=くの字点