<雇用市場の安定>
国内の雇用市場は、全般的に総じて安定している。中国経済が他の先進国と大きく異なるのはこの点だ。
経済成長率は7四半期連続で減速しているが、2008年─2009年のような出稼ぎ労働者の大量流入は起きていない。これが雇用市場の安定の背景とみられる。
第1に、経済成長は減速しているが、それでも7.5%を超えている。力強い経済成長が雇用創出を促した。
第2に(沿岸部に続いて)中部・西部地域の経済発展が進んでおり、こうした地域で経済が急激に拡大している。労働集約型の産業が中部に移り、中部・西部で大量の雇用が創出されている。
<インフレ警戒>
消費者物価については、上昇ペースが鈍化していると感じている。ただ、インフレへの警戒を緩めることはできず、消費者物価には将来的に一定の上昇圧力が残るということを指摘しておく必要がある。
海外からの輸入インフレ圧力は、相対的に依然として強い。米国の量的緩和第3弾(QE3)や日欧の緩和政策により、国際商品価格が上昇する可能性がある。