『トム・ブラウンの学校生活』は、19世紀の英パブリックスクール(ラグビー校)を舞台にした作品である。入学が決まり、ひとり駅馬車に乗って学校の寄宿寮に向かう主人公の少年を見送りながら、父親はこう思うのだ。《息子が勇敢で、役に立つ、嘘をいわぬ英国人になり、紳士になり、キリスト教徒になってくれれば外(ほか)に何もいうところはない》と。
「民主主義という制度では『ルール』を守ることや『公共心』を育むことが大事だが、ヨーロッパではスポーツによってルールの大切さをたたき込む。リーダーシップやチームプレー、フェアプレーの精神も学ぶことができます」
「イギリスでは“オックス・ブリッジ”をトップで出たようなエリートがパブリックスクールのハウスマスター(寮長)になりたがる。全生活を生徒たちにささげようというエリートがたくさんいるのです。残念ながら日本のエリートの中には、なかなか見当たらない」