「ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は24日、『円高を是正して景気を刺激し、本格的なデフレ対策を打つという意図は正しい』と述べ、大胆な金融緩和や財政出動を柱とする安倍政権の経済政策を評価した」と報じられています。(1/26 日経電子版)
果たして、スティグリッツ教授は、具体的にどんな発言をしたのでしょうか?
スティグリッツ教授は、世界経済の長期的問題に頭を悩ましているのです。
世界の国々において格差が広がっているではないか、と。そしてまた、地球温暖化の問題は、こうして我々が手を拱いている間にも、徐々に顕在化してきているではないか、と。さらにまた、先進国では製造業からサービス産業へと構造転換を図る必要が起きているのではないか、と。
こうした問題は、市場に任せていただけでは何ら解決されない。
つまり、政府の出番なのだ、と。
単純なケインジアン的な発想ではないのです。
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「市場メカニズムは所得格差を拡大する傾向を持つ」というのが日本で見られる通俗的な市場原理主義批判であるが、ステグリッツ教授の議論はこの点で異なる。 むしろ市場機能は、それが公平にルール化され、運営されるならば経済全体の各層に恩恵と繁栄がもたらされるものだ。ただし「市場は独力では望ましい効率的な結果を出せないため、政府は市場の失敗を正す役目を果たさなくてはならない。税制と規制に関する制度設計を通じて、個人のインセンティブと社会的利益を同調させるのだ」(p78)と主張する。
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