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【G20】日米欧、財政懸念も目先は“成長”重視

16日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議では、先進国と新興国がそれぞれの経済成長を追う中で、財政問題や金融緩和が引き起こす「通貨安競争」などの負の影響の解消に、明確な道筋を示せない世界経済のジレンマが浮き彫りとなった。モスクワの舞台で透けてみえた「デフレ脱却は歓迎だが、円安の突出は容認できない」という日本への各国の本音はその象徴だ。

 G20声明は、昨年11月の前回メキシコ会議で先送りした財政赤字削減の課題について、9月の首脳会合までに「中期の財政戦略を策定する」とし、踏み込んだ記述を見送った。


 各国は、欧州債務危機を受けて2010年6月の首脳会議(トロント・サミット)で、「13年に財政赤字を少なくとも半減し、16年に政府債務の国内総生産(GDP)比を低下させる」との財政健全化目標を定めた。その後の主要国の経済回復の遅れから、メキシコ会議では、目標を事実上、棚上げ。今回も、財政健全化の実施に「経済状況を考慮」との“注釈”が入った。


 背景にあるのは、欧米の財政・金融政策のスタンスの変化だ。


 リーマン・ショックの痛手がまだ癒えず、失業率の高い米国は、オバマ大統領が12日の一般教書演説で、「財政赤字の削減だけが経済政策ではない」と述べ、経済成長にも配慮した財政再建が必要と強調した。


 欧州も、緊縮財政で経済が大きく落ち込む打撃を受けており、欧米とも財政赤字削減にたがをはめることには消極的だ。


 一方で、財政拡大の余地が小さい米国もEU(欧州連合)も、景気刺激や金融システムの安定のため、今後も中央銀行が大規模な金融緩和を継続せざるをえない状況で、新興国の通貨安批判がエスカレートすることは避けたいとの事情もあった。


 GDP比で200%を超える政府債務が膨らむ危うさと、円安進行を伴う日本の「アベノミクス」がG20で受け入れられたのは、そうした欧米の思惑に乗ったためだ。


 ただ、財政問題や金融緩和のマイナス影響はそのまま世界経済の下ぶれリスクとして残る。日欧米が優先する成長が、新興国にも恩恵をもたらさなければ、G20のジレンマは新興国の不満として爆発する可能性もある。