モスクワで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は16日夕(日本時間同日夜)、共同声明を採択し、閉幕した。声明では、金融緩和などで各国が通貨を安く誘導する「通貨切り下げ競争」を回避し、金融政策は国内の経済成長を目的とすることを明記した。日本は円安を誘導しているという名指しの批判は回避したが、なお新興国などの不満は残った。
新興国は「円安誘導」と不満を表明。これに対し麻生太郎財務相と白川方明(まさあき)日銀総裁は「金融緩和はデフレ脱却が目的」と反論した。
声明では、為替水準は市場が決めるべきだとし、「通貨の切り下げ競争は回避する」と明示。日米欧の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が12日に発表した緊急声明を踏襲した。また、先進国の金融緩和が新興国に与える悪影響を「注視し、最小化に努める」とし、新興国の不満に配慮した。
麻生財務相は閉幕後の会見で、アベノミクスが「(各国から)一定の理解が得られたと思う」と述べる一方、通貨切り下げ競争回避で合意したことについて、「日本としても引き続き約束する」と語った。