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話題を呼ぶ米「ミシュキン論文」 白川前総裁も強調した財政従属|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

「フィスカル・ドミナンス」(財政による支配)と超金融緩和策の関係に関する議論が海外のエコノミストの間で活発になっている。

過去の20の先進国の政府債務状況を分析した結果、政府・議会が財政健全化に向かって適切に対処しているときは、金融緩和策はその動きに貢献する。しかし、逆の場合は、金融政策は財政政策に支配されてしまう。

FRBは市場からいわゆる“QE”(量的緩和策)で購入した巨額の長期証券を持っている。ただでさえそれは景気回復局面で大きな損失を発生させ得るのに、財政懸念から米国債のリスクプレミアムが跳ね上がって価格が急落したら、FRBのバランスシートに凄まじい損失が生じる。「FRBは大丈夫か?」という話が市場で広まると、米国債のリスクプレミアムはさらに大きくなり、恐ろしい悪循環が起きることになる。

 また、超金融緩和策の弊害・リスクを警告し続けている元BIS(国際決済銀行)のW・ホワイトは、中央銀行国債購入の危険性を指摘している。政治サイドが中銀の国債買いオペによる長期金利低下に甘えて経済・財政の改革を遅らせると、かえって事態は深刻化する恐れがある。日米でそれは既にある程度起きてきた。

黒田東彦総裁が率いる日銀新体制は、長期の国債を大規模に購入していく模様だ。白川体制下でも日銀は政府の年間の新規国債発行額に匹敵する額の国債を市場から購入していた。それをさらに上回る勢いで日銀が国債を購入し続け、かつ「日銀券ルール」(日銀が保有する国債は日銀券発行額以内とすると定めた“内規”)が完全に捨て去られる場合、将来の日本で「フィスカル・ドミナンス」が顕在化することはないか注意して見ていく必要がある。