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【賢者に学ぶ】もっと口をつぐもう 哲学者・適菜収 - MSN産経ニュース

 一人の人間が情熱を傾けて、自分に与えられた使命を果たそうとするとき、また彼らが手を組むときには集団も意味をもつ。

 しかし、水平化・平等化された近代社会においては、傑出した人間は軽視され、疎まれ、引き摺(ず)り降ろされる。そこに働くのは嫉妬の原理だ。そして個人が完全に等価になった結果、価値判断の道具として多数決が導入される。そこでは頭数を揃(そろ)えることだけが求められる。


 キルケゴールはこうした野蛮を批判した。


 「ところが今日では、だれもが意見をもつことができるのだが、しかし意見をもつためには、彼らは数をそろえなければならない。どんなばかげきったことにでも署名が二十五も集まれば、結構それでひとつの意見なのだ。ところが、このうえなくすぐれた頭脳が徹底的に考え抜いたうえで考え出した意見は、通念に反する奇論なのである」(『現代の批判』)

 キルケゴールは「おしゃべり」の危険性を説いた。「ほんとうに黙っていることのできる者だけが、ほんとうに語ることができ、ほんとうに行動することができるのだ。沈黙は内面性である。おしゃべりは、ほんとうに語ることを先取りしてしまい、反省の所見は機先を制して行動を弱める」

 意見を持たないことも教養の一つである。知らないことには口をつぐまなければならない。それは発言の価値を確保するためである。

デタラメな人物を次々と政界に送り込み、飽きれば他人事(ひとごと)のように批判を繰り返す。