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タヌキ度が低そうなイエレン議長

 テーパリングは淡々と進められており、このままFOMCの会合のたびに債券の買入額を100億円程度ずつ縮小すると仮定し、3月18〜19日に550億ドルに減少させ、4月29〜30日に450億ドル、6月17〜18日に350億ドル、7月29〜30日に250億ドル、9月16〜17日に150億ドル、10月28〜29日に150億ドルを一気に減らしてゼロとすれば、今年の秋のうちに終了することが予想される。


 フォワドガイダンスも修正し、6.5%という失業率の数値基準を削除した上で、実質的なゼロ金利解除を検討する際の条件は、労働市場やインフレ圧力など幅広い指標を考慮するとした。すでに1月の失業率が6.6%と数値基準に接近してきたことで、数値基準は取り除いた格好である。これはフォワドガイダンスの強化ではない。むしろ、裁量余地を拡げた格好ともなり、テーパリング完了後は利上げの準備にかかることを示唆しているものとみた方が良さそうである。


 これについては、イエレン議長としての初の記者会見において明らかとなった。テーパリングを秋あたりに終了後、利上げまでは相当の期間(considerable period、声明文はconsiderable time)があるとしていたが、その期間とはどの程度なのかとの記者からの質問に対し、その相当の期間とは「Around Six Months」との考えを会見でイエレン議長は示したのである。


 つまりテーパリング終了後、半年程度に利上げを準備するであろうとの見通しを明らかにしたのである。これは初の会見ということで緊張してつい口が滑って、自分の想定していたロードマップを答えてしまったとの見方もあるが、もちろん意図的に答えた可能性もある。

「バーナンキ路線」から逸脱した発言をしたイエレン議長が目指す「バーナンキ路線の踏襲」

FRBはこれまで、雇用に関しては、「失業率6.5%」と、変数が「失業率」一つである「一元方程式」を市場に課題として与えて来ました。これを今回のFOMCで「労働市場の情勢を示す指標や、インフレ圧力・インフレ期待の指標、金融市場の状態を含めたその他の情報などを含む幅広い情報を考慮して判断していく」(日本経済新聞)と、変数が複数ある「多元方程式」に変更しました。変数が一つでなくなりましたから、「これまでよりも多くの情報を提供」しないと、方程式が解けないのは当然のことです。


では、「これまでよりも多くの情報を提供する」ことで、市場とFRBのコミュニケーションは保たれるでしょうか。個人的には、これまで以上に難しくなると考えています。それは、イエレン議長のコミュニケーション能力に問題があるということではなく、市場の方程式を解く能力が落ちて来ていると思われるからです。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140107#1389091667
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140106#1389006527
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140105#1388918240