NATO加盟国の領土は不可侵、防衛に努める=米国務長官 | Reuters
ケリー米国務長官は29日、米国は同盟国と団結してウクライナを支援するとの姿勢を示すとともに、集団防衛について定めた北大西洋条約第5条に触れ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の領土は不可侵であり、加盟国は領土を保全するとの立場を示した。
同国務長官はワシントンのシンクタンクで行った講演で、ロシアのクリミア編入、およびウクライナ東部での行動にに言及し、「ロシアは東欧、および中欧の安全保障面での様相を変えようとしている」と指摘。「ロシアがいかなる道を選ぼうと、米国は同盟国と団結しウクライナを支援する」と述べた。
そのうえで「NATO加盟国の領土は不可侵であることをロシア政府に対し明確に示さなくてはならない。われわれは、この領土のいかなる部分も防衛する」と発言。集団防衛について定めた北大西洋条約第5条に触れ、「第5条は何らかの意味を持たなければならない」と述べた。
28カ国で構成されるNATOはこれまで、非加盟国のウクライナをめぐる問題に軍事的に介入しないとの姿勢を明確に示していた。
ただ、ロシアによるクリミア編入を受け、特に旧ソビエト連邦を構成していたバルト3国で懸念が高まっているため、NATOは前週、東欧の兵力を増強する計画を発表している。
ケリー長官は、米国は欧州と共にこれまで何年にもわたりロシアのとの関係に取り組んできたが、「ここに来て、ロシアのウクライナに対する行動からプーチン大統領が異なる規範に従って行動していることが明らかになった」と指摘。
今月17日のウクライナ情勢をめぐるウクライナ、ロシア、米国、欧州連合(EU)の4者合意について、ウクライナは緊張緩和に向け直ちに行動を起こしたのに対し、ロシアはまったく対応していないと指摘した。
また、米国とその同盟国は、欧州諸国がロシアのエネルギー供給に依存していないことを確実にする必要があると述べた。
ケリー長官の講演にはEU、およびNATO加盟国の閣僚も出席した。