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『吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録 (講談社学術文庫)』
P161

 孫子は、戦いについて、もっぱら敵を知り、己れを知ることが大切であると言う。まず戦いを始めるにあたっては、具体的な状況の判定にあたり、「いずれの君主が正しい政治体制をしているか。大将はいずれの能力が勝っているか。天地の条件はいずれが有利であるか。法令はいずれがよく行われているか。兵隊はいずれが強いか。部隊はいずれがよく訓練されているか。賞罰はいずれが厳正に行われているか」ということをよく調べる必要があると言い、最後に人情のことについてふれ「明君賢将といわれる人たちが、戦えば必ず勝ち、功業を立て衆にぬきんでる理由は、まず事態をよく知るからである。よく知るということは、鬼神にたよるのでもなければ、経験によるのでもなく、また数字にたよるのでもない。必ずその地の人情を見て敵情を知ることなのである」と言っている。