【コラム】ソロス氏が狙いを定めたGPIF改革−Wペセック - Bloomberg
分散投資を懸念する理由はもう一つある。そのタイミングだ。ソロス氏は3月に、欧州が25年にわたり日本のような景気低迷に見舞われるリスクを指摘し、これが世界に影響する可能性を警告しているからだ。そうなれば世界は明らかにデフレの方向だ。日本の年金基金に対してソロス氏は利他的ではない。ショートで利益を上げようとする空売りの名手だ。世界的なデフレ、もしくはそれに近い状態が来るのなら、日本はこの段階で株式を積み増すのはやめたほうがいいかもしれない。
日本の少子高齢化を考えれば、GPIFのリターン向上はこれから間違いなく必要になる。そこで自民党はGPIF改革に動きたいわけだが、そのためにはリスクテークに後ろ向きな官僚が予算などを牛耳る厚生労働省とのつながりを絶ち、運用や分析のプロを増やすことが必要であり、とにかく時間がかかる。何年も要するだろう。
GPIF改革にはメリットがある。しかし、これが本来の経済改革をやらずに株価を手っ取り早く押し上げる方法であるなら、「アベノミクスは買い」ではない。