景気回復に加えて働き手の人口がどんどん減少 足音が聞こえ始めた「人手不足時代」の近未来予想|今週のキーワード 真壁昭夫|ダイヤモンド・オンライン
実際に企業の人事担当者などにヒアリングしても、建設、飲食チェーン、流通、介護などの分野で人手不足がかなり深刻化しているようだ。
人手不足の大元の原因は、働く人の数に対して企業などが求める働き手の数が上回っていることだ。わが国はすでに人口減少局面を迎えていることに加えて、少子高齢化の進展で15歳から64歳までとされる生産年齢人口が減少しており、これからも働き手の数が減少傾向を辿ることが予想される。
人手不足が進むと、基本的には我々が受け取る給与は増加することになる。それは我々にとっては好ましいが、人手不足が一段と進むようになると、経済活動全体に大きな支障が発生することが考えられる。
また企業サイドから見ると、人件費の上昇によるコストアップ要因になる。それは、わが国企業の競争力を低下させることにつながりかねない。
もともと国の実力と人口には、密接な関係が存在する。国の実力の1つである経済をとっても、人口が多ければ労働力が潤沢で、一般的に生産活動は活発化しやすい。また人口が多ければ、その分だけ消費活動も拡大し易くなる。生産と消費活動が拡大基調を辿ることができれば、当該国の経済が堅調に成長することができるはずだ。
安全保障や文化などの活動にも、基本的に同様のことが言えるだろう。その意味では、人口は国にとって重要な要素のつであることは言を俟たない。人口の減少や少子高齢化の問題を抱えているのは、わが国ばかりではない。米国を除く主要先進国は、多かれ少なかれ同様の問題を抱えている。