早い出口議論は混乱招く、追加緩和手段に限りはない=日銀総裁 | Reuters
日銀の黒田東彦総裁は3日午前の衆院財務金融委員会に出席し、「量的・質的金融緩和」(QQE)からの出口戦略について時期尚早との見解を繰り返し、早い段階で具体的なイメージを示すことは市場の混乱を招く可能性が大きい、と語った。
また、今後、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じればちゅうちょなく政策調整を行うとし、政策手段に限りがあるとは考えていない、と述べた。
黒田総裁は、日本経済は2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているとしながらも、「まだ道半ば」と指摘。こうした中でQQEの出口戦略について「具体的な議論は時期尚早」との見解を繰り返した。
出口の具体的な手段は「さまざまなものが考えられる」としたが、国債買い入れの取り扱いや順序などは「その時々の経済・物価情勢や市場の状況によって変わる」と説明。「早い段階で具体的なイメージを示すことは、市場の混乱を招く可能性が高い」と語った。
その上で、2%の物価目標を実現し、それが安定的に持続できる段階では「出口について具体的な議論が必要だ」とし、出口戦略は、その時々の状況に合わせて「最適なかたちで実施する」と語った。
一方、何らかのリスク要因によって日銀の見通しに変化が生じ、2%の物価安定目標の実現に必要と判断すれば「ちょうちょなく(政策)調整を行う」と追加緩和を辞さない姿勢も示した。その際の手段について「限りがあるとは考えていない」とも指摘した。
また、総裁は足元の国内需給環境について、失業率は3%台半ばとみられる構造失業率に近いとし、需給ギャップはゼロ%近辺に縮小していると指摘。需給ギャップの先行きプラス幅拡大に伴って賃金や物価の上昇圧力が次第に高まるとの認識を示した。
その上で、需給ギャップの縮小で、人手不足など日本の供給不足の問題が顕在化してきていると述べ、「成長力強化の議論が重要になってきている」と強調。足元の潜在成長率が「ゼロ%台半ば前後」まで低下している中、政府による成長戦略推進の重要性を繰り返し指摘した。