米国の所得格差が金融危機で拡大、富は上位3%に集中=FRB | Reuters
米連邦準備理事会(FRB)が4日公表した調査によると、先の金融危機で、米国の富裕層とその他の所得層との格差が拡大したことが分かった。
ただ、富裕層の所得は増加したものの、2013年までに2007年の水準を回復した調査対象者はおらず、金融危機が残した傷の深さを浮き彫りにした。
一部のアナリストは、米国の富が上位1%の富裕層に集中していると指摘しているが、FRBの調査によると、実際には上位3%の富裕層に集中していることが分かった。
2010━2013年の期間に、米国の家計所得(インフレ調整後)は平均でおよそ4%増加したものの、所得の伸びは富裕層に集中した。上位3%の富裕層が所得全体に占める割合は30.5%だった。
また家計純資産の保有状況ではさらに格差が拡大。上位3%の富裕層が全体に占める割合は、1989年の44.8%、2007年の51.8%から2013年には54.4%に上昇した。
家計の富が全体的に横ばいとなる一方で、負債に関する指標の多くは低下した。住宅保有率の低下が主因で、負債は平均で13%減少した。
FRBは3年ごとにアメリカの世帯の所得や財産などについて調査を行っていて、4日、最新の結果を公表しました。
このうち、世帯の所得の平均は、金融危機のあとの緩やかな景気回復を反映して2010年から2013年までの3年間で4%増加しました。
しかし、これを所得水準で分けてみますと、豊かな上位10%の世帯の平均所得がこの3年間で10%増えたのに対して、いわゆる中間層はほぼ横ばいでした。
さらに、下位の20%の低所得世帯の平均所得は逆に8%減り、格差が拡大したことが分かりました。
そして、世帯の財産に関する調査で、全体の富のうち豊かな上位3%の世帯にどれだけ集まっているかをみますと、1990年代以降最も多い54.4%で、限られた層に富の半分以上が集中していました。
アメリカでは、景気回復の恩恵を受けているのは一部の豊かな層に偏っているという指摘が広がっていますが、今回の結果はそうした格差拡大の実態を裏付ける内容といえそうです。