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イノベーションが求められる時代の理想的な経営者とは | DHBR編集長ブログ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

 経営者のタイプを大別すると、戦略家型とアーティスト型がいます。


 戦略家型の特徴は、事業環境の本質を見事にとらえ、市場のエコノミクスを明確にとらえることでおのずと競争優位につながる戦略を打ち出すことができます。戦略立案のみならず実行面でも組織の原理を理解し、迅速な実行を可能にする仕組みを構築するのも上手い。彼らは、データやファクト、そしてロジックを重視します。古くはGMを巨大企業に育てたアルフレッド・スローンやIBMを再建したルイス・ガースナーなどがこの経営者像の典型でしょう。


 一方のアーティスト型経営者とは、まさにスティーブ・ジョブズのような人です。一見、戦略的整合性が取れていないと見えるプランを組み合わせ、見事な顧客体験を生み出すタイプの経営者です。データよりも自らのビジョンや直観を重視し、それによって顧客インサイトを見事に捉えることができます。フェイスブックマーク・ザッカーバーグeBayのピエール・オミダイアもこのタイプと言えるでしょう。新たに産業が勃興する際には、このような経営者が台頭するようです。

ピクサーの社長、エド・キャットムルはこのどちらにも属さない、新しい経営者像を感じます。彼は創造性の重要性を誰よりも理解しています。そのためクリエイターに最高の環境を用意したからこそ、数々のヒット映画が誕生します。ピクサーのクリエイターと言えば、同じく創業者のひとり、ジョン・ラセターが有名です。ラセターはアニメーターを経て映画監督となり、ピクサー映画のアイデアとクオリティは、彼の創造性の賜物です。キャットムルは元々コンピュータ科学者で、コンピュータ・グラフィックの分野で活躍していました。科学者であり技術者であるキャットムルは観察力にすぐれ事実を客観的に分析する力を有しています。その彼が築いた組織文化は創造性を限りなく発揮させるためのもので、キーワードはオープンとフラットでしょう。人と人が自由に意見をぶつけることの重要さ。そして批判よりも建設的な意見がどうすれば出やすくなるかを熟知しています。

 このような文化を築いたキャットムルは、まるで禅僧か哲学者のような、とても穏やかな人だそうです。自身はクリエイターではありませんが、クリエイターから絶大な信頼を勝ち得ているからこそ、確かな結果を残しているのでしょう。経済原理を熟知した戦略家とも、アーティストともいえない経営者ですが、世界でもっともクリエイティブといわれる企業を成功に導いています。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141003#1412332451
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141002#1412246975
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140929#1411988909
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140927#1411815790