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セブン騒動は日本企業にとって画期的な出来事だ 佃秀昭エゴンゼンダー社長に聞く|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン

世間を騒がせているセブン&アイ・ホールディングスの人事抗争。お家騒動の側面にばかり焦点が当たりがちだが、これは日本が国を挙げて改革に取り組むコーポレートガバナンス企業統治)において絶好の研究材料だ。

セブン&アイは今回の一件で、取締役15人のうち4人の社外取締役がいたことで、会長兼CEOの意に沿わない結果を取締役会で出しました。それも、従来の日本企業ではトップの専権事項だった人事案件においてです。これは画期的で、エポックメイキングなできごとだと思います。


 取締役会で無記名投票にしたことも大きかったです。記名式だと、社内取締役がCEOの提案に反旗を翻すことはどうしても難しい。


セブン&アイが経営陣の指名や報酬を決める指名報酬委員会の設立を決めたのは今年3月。まだ設立から間もないこともあって、完全に機能したとは言えませんが、一定程度の機能は果たしたと総括していいと思います」

「本来であれば、今回の一件は起きるべきではなかったことも事実です。指名報酬委員会での議論では、鈴木さんの提案に対して、他の委員たちも「合理性があって納得できるから賛成」となった上で取締役会の議題にかけられるのがあるべき姿だからです」

「メディアでもほとんど議論されていないですが、非常に重要なポイントは、そもそもセブン&アイのトップにはどんな能力や資質が問われるのか、という点です。本来であれば、指名報酬委員会が議論すべきはこのポイントです。


 井阪さんがセブンイレブンで積み上げてきた過去の業績はすばらしいですし、株主のサード・ポイントも評価しています。しかし、井阪さんの経営者としての能力の話とは関係なく、セブン&アイセブンイレブンのトップでは、極めて異なる能力や資質が求められますし、セブン&アイのほうが2段階くらい難易度も高いのではないかと思います」


「サード・ポイントはいくつかの事業から撤退すべきだと言っています。そういう意味でセブン&アイのトップは、祖業である傘下子会社のイトーヨーカ堂も含めて事業の最適な構成を考えて組み換え、キャッシュをつくり、それをどこに投資するかという戦略を練るポートフォリオマネジメントの能力が必要です。


 数名の候補者の中で誰をトップにするかという議論ではなく、数年後にはどんな環境変化があって、経営戦略はどうすべきで、そのときにどんな人がリーダーであるべきか。そういう議論を本来すべきです。


 また、今回は突如として鈴木さんが退任するかたちになりました。組織としては非常に厳しい話です。子会社の人事を否決されただけでやめないでほしいと思っている人もいるかもしれない。後継者の選択が難しいという話にもなります。


 次のトップ交代が何年後になるか分かりませんが、井阪新体制になった瞬間に井阪さんの後任を誰にするかという課題を持って走りだすべきだと思います。そして、後任候補がセブン&アイのトップを務める上で必要な経験を積ませることが大事です。例えば、1社でずっと経験を積むのではなく、例えば、グループ会社であるそごう・西武で幹部を務めるなどといったことも考えられます。


セブン&アイは指名報酬委員会の設置を3月に決めたので、これは今後の課題ですが、本来は中長期でサクセッションプラン(後継者育成計画)の議論をすべきです」

創業家の議論は簡単に結論が出るものではありません。ソフトバンクの孫(正義)さんやファーストリテイリングの柳井(正)さんなど、創業者で企業価値を非常に高めている企業トップは多いですし、創業者の2世社長でもそういう人はたくさんいます。


 一定の株式を持つ創業家が経営にどれだけ関わるのか、他の株主との兼ね合いでどこまで創業家のことを考えるべきか。企業経営者は今回の一件でいろいろ考えさせられたのではないかと想像します」

「世の中の社外取締役監査役にメッセージを伝えたいです。『あなたは、鈴木さんの人事案に反対したセブン&アイ社外取締役と同じことができますか』というメッセージです。


 『社外取締役はしょせん社長に選ばれた人だから、社長の意見に反対できない』と揶揄されたりします。しかし、それができなければ、社外取締役監査役の資格がないということを肝に銘じなければいけません。自分が社長から嫌がられても、排除されそうになっても、自分が正しいと思うことを貫くことが重要です。


 翻って企業経営者です。“うるさ型”の社外取締役こそ価値があると思う経営者が増えてほしい。経営の執行でベストを尽くした上で、社外の目で正してもらうことが経営改善ための大きなポイントです。


 さらに言えば、そういう価値観を持つ経営者をサクセッションプランで選ばないといけません。


セブン&アイの一件はトップ人事、経営戦略、グループ経営、創業家と経営との関係と、いろんなテーマが詰まった一件だったと思います。そこから得られる示唆は極めて明確です。創業家が誰かなどといったことは一切排除して、企業価値を高めるために誰が企業のトップとしてベストかを考えて選ぶべきということです。


 日本企業はやると決めたら真面目に物事をやりとげます。今回の一件で日本のガバナンス向上はさらに加速すると考えています」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160425#1461580643
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160424#1461494479
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160422#1461537525セブン-イレブンなど事業会社のトップには強烈な事業執行のリーダーシップが求められる一方で、セブン&アイのトップには資源配分の資質が強く求められる。中でもホールディングスの社長に一番重要なのは幹部人事を決める資質である。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160421#1461235099
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160421#1461235101
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160420#1461148930
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