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特別授業 「文人たちの結社」―『百科全書』における〈société des gens de lettres〉の概念

講師 逸見龍生(新潟大学准教授)
日時 2014年12月6日土曜日10時40分〜12時10分
場所 学習院女子大学 7号館3階 731教室

伝統と反逆のうちの『百科全書』 逸見龍生「文人たちの結社」 - オシテオサレテ

 百学連環ともいわれるように『百科全書』には、様々な学問領域をめぐる記述が網羅的におさめられている。またそこには数多くの著者が参画している。この多様性は論述の焦点をぼかし、特定の精神性のマニフェストたることを妨げるのではないか。だが多様な典拠を引くことがそのままある主張の正当化につながるような作法人文主義以降数百年かけて洗練されていた。この意味で啓蒙の世紀もルネサンスの申し子である。啓蒙の世紀の新規性は、多様な典拠を呼び出すことにより、旧来の問題設定そのものを解体する方向へと議論をすすめた点にある。しばしば啓蒙主義の源泉の一つとされる『歴史批評辞典』のなかでピエール・ベールが好んで用いた論法だ。ベールは判断を下さない。彼が行うのは、学問上の対立する諸学説を引き、そこから対立項のどちらをとっても解決不能な問題があらわれることみせつけることだった。ジレンマを引きだすことで問題の土台そのものを解体するのだ。

 解体はやみくもなものではなかった。ディドロたちは自らが対峙していた標的を見定めていた。それはイエズス会が編んだ『トレヴー辞典』である。

 絶対主義の支配下にあって言語をめぐる争いが先鋭化するなか、旧来の支配的言説に対抗するため人文主義の論述作法を解体的方向に拡張することが行われた。そのための辞書であり、協同作業なのであった。なるほど『百科全書』は体系的で一貫した書物ではない。それは膨大で散漫で脱線に満ちている。だがそのような器はルネサンス以来の伝統に根ざしたものであり、同時に啓蒙のフィロゾーフたちによる対抗戦略の産物であった。それを見落とすとき、私たちはディドロダランベールがもくろんだ反逆の核心をつかみそこねることになる。

この逆を行っているのが相対主義者。
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