第27期竜王戦七番勝負は、挑戦者の糸谷哲郎七段が森内俊之竜王をここまで3勝1敗と追い込み、第5局が3日から金沢市の旅館で行われていました。
その結果、4日午後3時46分に、161手で糸谷さんの勝利が決まり、4勝1敗となった糸谷さんが竜王のタイトルを初めて獲得しました。
糸谷さんは広島市出身の26歳で、この竜王のタイトル獲得で八段に昇段しました。
糸谷さんは、「シリーズの序盤、中盤は反省も多い将棋でした。タイトルが取れて素直にうれしいです」と話していました。
糸谷哲郎さんは、大阪大学大学院文学研究科に在籍し、哲学を専攻しています。
ことし10月からは将棋に専念するため一時、休学し、竜王戦などに臨んでいました。
──シリーズ通じて第4局、第5局と「自信がなかった」と言われていましたが、苦しくなってからの指し方など、考えていたりしますか?
ひとつは「相手に分かりやすい決め手を与えない」ということ、あとは「例え最善手でなくても、勝ちやすい形を作る」ということですね。
──早指しで相手に考える余裕を与えないのは、意識してのことですか?
竜王戦は普段より時間(持ち時間)が多いですが、なくなってしまえば同じなので。良いときはなるべく(早指し)しないよう心掛けてます。ただ悪いときは逆転しないといけませんし、時間も戦術のひとつなので。あと自分が悪いと思っているときは、積極的に(読みを)飛ばしますね。読みの枝がいくつもある中で、ひとつ都合の悪い変化があれば、それをどんどん切り捨てていく。苦しいときほど切り捨てる手がはっきりするので、必然的に早指しになりやすいです。ただ今日の将棋のように序盤で早く指して悪くなるなら、もっと考えろよって話ですよね(苦笑)
──挑戦者決定戦で羽生善治名人、七番勝負で森内俊之竜王を破ったことで「羽生世代」に対しての勢力図は変わりそうですか?
豊島(将之七段)さんや中村(太地六段)さんといった、今まで挑戦された人たちも、まだ挑戦していない人たちも、これからもっとぶつかっていけるのではと思います。私見ですが、私たちの1つ上の世代は序盤戦術が卓越しているので、終盤力で戦っていかないと、経験値の差で勝てないと思います。
──やはり終盤で勝負すべきと?
最近は(コンピュータ)ソフトが強くなり、人間はまだまだ終盤が間違っていることが多いと分かってきたので、そこをもっと鍛えれば、もっと正確に指せるのではと思います。
──普段はソフトを活用しますか?
家のパソコンにソフトは入ってなくて、連盟のパソコンでたまに指したり、棋譜を見たりするぐらいです。基本的に力は中終盤に寄ってまして、人間ももっと中終盤をうまくできると思います。今までと同じ感覚で中終盤で時間がなくなったらつらいんじゃないかなと。具体的には先ほど言った「枝切り」ですね。短い時間で、飛ばして、正しく読める力が必要になってくるような気がします。
竜王戦は若手の登竜門。
下位者にチャンスを与えるシステムです。
このため、最高のタイトルでありながら、時の第一人者が長く居座るというイメージはありません。
羽生名人の初タイトルが、竜王で、時に19歳。
渡部二冠も同様で、20歳。
そして、糸谷竜王は26歳です。
さて、今回の結果が、棋界に新風を呼び起こすことになるかもしれません。
いま、関西の若手が強いのです。
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