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焦点:ECB量的緩和の妥協策、南欧諸国に逆効果も | Reuters

欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)に踏み込む上で3つの選択肢を検討している。しかしそのうち2つは重債務にあえぐ南欧諸国に対する信頼感をかえって損ないかねない内容で、QEは所期の目的を達成できないかもしれない。


昨年12月のユーロ圏インフレ率がマイナスに沈んだことで、QE実施は時間の問題となり、早ければ1月22日のECB理事会での発表が予想されている。

QEの主要シナリオは、ユーロ圏各国のECBへの出資割合に応じた額の国債をECBが買い入れるものだ。


しかしドイツ連銀はECBが国の信用リスクを引き受けることに反対しており、このほかに2つの選択肢が浮上した。


2つ目の選択肢は、各国中銀が自国の国債を買い入れる、すなわち信用リスクが当該国にとどまるようにするもの。3つ目はECBが購入対象をトリプルA格の国債に絞り、より格付けの低い国債については投資家による購入に期待を掛ける案だ。


しかしエコノミストによると、第2と第3の案は逆効果を招く恐れがある。ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルといった国々の国債のリスクをECB自体が敬遠するのなら、民間投資家がそれを引き受ける理由はどこにあるのか、というわけだ。


投資家が好む主要シナリオは、欧州経済通貨同盟(EMU)が示す連帯の原則に最も即しているように見える。ユーロ圏加盟国が債務を返済できなくなり、ECBが損失を背負わざるを得なくなった場合には、加盟19カ国の政府がECBに追加出資することになっている。


この場合、民間投資家にも損失は及ぶが、少なくともECBとの間で痛み分けとなる。これに対して選択肢2と3ではEMU全体でリスクを分担することにはならないため、投資家は格付けの低い国債にプレミアムを要求、最も借り入れコストの引き下げが必要な国の国債利回りを押し上げる結果になってしまう。


アバディーン・アセット・マネジメントの投資マネジャー、ルーク・バーソロミュー氏は「EMUの全体的概念から一歩遠ざかるように感じられる。しかもECBがバランスシート上に引き受けたくない信用リスクはこれこれだと、あからさまに認めることになる。ECBはそうしたシグナルの発信を避けたがっているというのに」と語った。

第2、第3の案では、低成長と高失業率にあえぐユーロ圏「周辺国」の借り入れコストをかえって押し上げかねない。

最悪なのは第3の選択肢で、この案が実施されれば周辺国の国債売りを招くと予想する投資家さえいる。

RBSの計算によると、ユーロ圏の国債市場規模7兆ユーロに対し、トリプルA格の国債は3兆3000億ユーロに限られる。


すべての格付け会社からトリプルA格を得ているユーロ加盟国はドイツ1国のみで、少なくとも1社から同格を付与されているのはオーストリアフィンランドルクセンブルク、オランダの4か国。フランスは小さな格付け会社DBRSからしかトリプルA格を獲得していないが、ECBの買い入れ適格条件を満たすには十分だろう。


これらトリプルA格の国債の約半分は、既に利回りが1%未満ないしマイナスまで下がっており、QEを実施しても影響は乏しそうだ。

RBSのシニア欧州エコノミスト、リチャード・バーウェル氏は、ECBが主要シナリオを断念し、QEの規模や範囲を制限した場合でも、それが恒久措置ではないことを明示すれば市場は受け入れるかもしれない、とみている。


アライアンスバーンスタインの欧州エコノミスト、ダレン・ウィリアムズ氏も「これで政策は出尽くしと受け止められるかどうかにかかっている。過去数年間の経験に照らせば、ECBは追加策の必要が生じれば追加策を実施するだろう」と述べた。