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焦点:ダボス会議予測に「当たり外れ」、エリートも危機見抜けず | Reuters

今年も世界のビジネスと政界のエリートたちは、アルプス山脈を望むスイスのダボスで21─24日まで開かれる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会に出席し、この1年がどうなるかを占う。しかし、歴史が示すところでは、ダボス会議の出席者の予測は多くの場合、間違いである可能性が高い。

新鮮な山の空気を吸うと、自信あふれたの意見表明が促されるのかもしれない。だが、ダボス会議における予測の正確さを振り返ってみると、ここ数年は当たりもあれば外れもありだ。


不発に終わった昨年の予測の中には、日本銀行黒田東彦総裁による「(日本の)状況は完全に変わった」発言がある。1年後に日本経済は再び景気後退(リセッション)に逆戻りした。


また、ロシアによるクリミア併合やイスラム過激派組織「イスラム国」の台頭、原油価格の50ドル割れを予測した者は誰もいなかった。


ユーロ圏と銀行部門における双子の危機も、政策立案者や専門家が不意打ちを食らった例としてよく知られている。


2011年当時、フランスの財務相だったラガルド国際通貨基金IMF)専務理事はユーロ圏は「危機を脱した」と宣言し、金融市場に「欧州売り」をやめるよう求めた。その後欧州は恐ろしい一年となり、欧州に対する空売りの方が断然賢い戦術になった。


「悲観論の帝王」と呼ばれ、米国のサブプライム住宅ローン危機を予測した経済学者のノリエル・ルービニ氏が2012年にギリシャのユーロ圏からの年内離脱を予言した後に形勢は一気に逆転した。実際にはギリシャはユーロにとどまったのだ。ただ、造語の「グレグジット」をめぐる論議は今年のダボス会議で再び議題となる。


それでも最低の予測はといえば、やはり2008年の1月だろう。当時は米国のサブプライム危機が既に始まっていたが、ダボス会議の参加者たちは、わずか8カ月後に訪れるリーマン・ブラザーズの破たんを契機とする危機の到来に全く気付かなかったのだ。


安売り状態の米国の金融セクターは「投資機会そのもの」だというクウェート投資庁(KIA)のバデル・アルサード氏の発言は、当時の自信過剰なムードを簡潔に言い表している。


ハイテク業界では米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)のビル・ゲイツ共同創業者が2004年、世界から2年以内にスパムメール(迷惑メール)を一掃すると約束したが、世界の30億人のインターネット利用者は依然としてその日が実現するのを待っている。

そうはいっても、ダボス会議新興国の台頭や最近ではシェール石油・ガス主導による米国経済の不均衡是正といったメガトレンドを特定するのが得意だ。さらに会議は、水資源の利用やサイバーセキュリティーといった将来のグローバルな不安についても警告を発してきた。


ダボスが示してきた時代精神は、ビジネス界全体の観点から見ると良好な実績を残している。


プライスウォーターハウスクーパース(PWC)がダボス会議の場で毎年公表する最高経営責任者(CEO)を対象とした年次信頼感調査によると、CEOたちは2007年、2009年と過去3年の見通しに関してはかなり良い考えを持っていた。2008年と11年はさほどではなかったが。

もちろん、2500人の参加者の大半にとって、会議は確かな予測を言い当てるのではなく、知人と会ったり意見交換するための場だ。


ダボス会議に10年以上参加し続けているアクセンチュアのマネジングディレクター、マーク・スペルマン氏は「明らかに見過ごされることはある。しかし、会議は2015年がどうなるかという全体像を私に与えてくれるし、これほど濃密な時間の中で同じ量と質だけ人と交流できる場所は、地球上の他のどこにもない」と話している。