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東浩紀氏、イケダハヤト師の「多くの著者にとって、書籍の出版は割に合わない商売だ」論に反対する

そうか、東浩紀さん、こんなことを言っていたのか。サントリー学芸賞を取った彼が、こんなことを言うなんて、残念だ。いや、それが業界の実態なのだけど。


言っていることが、現状認識として合っているかどうかで言うと、合っている。一連のツイートは事実関係で言うならば、いちいち正しい。出版業界全体が徐々に縮小しているのは紛れも無い事実だ。2014年は、業界全体の売上が約1兆6000億円で、対前年比4.8ポイント減、金額にして800億円のダウンだったという。


肌感覚としても、どんどん書店が減っていく、売れるものしか並ばなくなる、企画が通りづらい上、明らかに初版部数が少なくなっている、という感じがする。


ただ、「割に合う」ということはどういうことだろうか?


この言葉に、激しく違和感を抱いてしまったのだ。

思うに、割に合う、合わないという議論自体がナンセンスなのだと思う。世の中に(いや、そこまで広くなくても、ある小さなジャンルだけでも構わないのだが)、何かを伝えようと思うのなら、覚悟が必要なのだ。物を書くというのは、そういうことなのだ。

まさにこの件は、ここ数年、ずっと悩んでいたことだったのだが、まさに昨年の後半に東浩紀さん、飯田泰之さんとゲンロンカフェで鼎談して、「ああ、この議論をしている自分ってかっこ悪いな」ということに気づき、なんとか生きること(書籍以外の手段も含む)、そして、書籍は「割に合う」とか「合わない」とか考えずに、自分がやりたくて出版社や何より読者が期待してくれるならやればいいし、そうじゃないならやらなくてもよい、そう考えるようになった。

「書籍だけで食わない」「売れようと思って本は書かない」「残る本を書く」という覚悟ができたのが、昨年の迷走、充電を経て、行き着いた答だ。そして、「割に合う」「合わない」なんて議論をしなくてもすむように、心も身体も、そして経済的にも余裕をもって生きる、と。


4月からは千葉商科大学国際教養学部の専任講師となる。つまり、就職するわけだ。教育と研究に没頭しつつ、新たな知を創りだしたいと思う。いま、最高に創作意欲、研究意欲がわいている。いい感じだ。もちろん、大学や教員の未来が明るいかどうかでいうと?だと思うが、そういうことが気にならないぐらい吹っ切れた感じだ。

最後はこういう、愛、熱量があるかどうかなのだ。


だから、私は書籍を書く。伝えたいことがあるかぎり。仕事がくる限り。

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