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焦点:高浜原発再稼働に冷水、カギ握る22日の鹿児島地裁判断 | Reuters

樋口裁判長は昨年5月にも関電大飯原発3、4号の運転差し止めを求める住民の訴えを認める判決を出している。この時の判決で樋口氏は、生命や身体、精神や生活に関する利益を、憲法で保障された「人格権」と規定。原発の運転によって「人格権が侵害される具体的な危険がある」と断じた。


今回の仮処分決定で、同裁判長は、原子力規制委員会に批判の鉾先を向けた。東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発事故を契機に、規制委が2013年7月に施行した新規制基準について、同裁判長は決定文の中で「緩やかすぎて、これに適合しても原発の安全性は確保されない」と断定。再稼働に向けた審査の前提となる新規制基準自体を否定するという厳しい判断を示した。

今回の仮処分申請の仕掛け人で、「脱原発弁護団全国連絡会」の共同代表を務める河合弘之弁護士は、仮処分決定後の記者会見で「高浜3、4号だけでなく、欠点だらけの新規制基準によって他の原発が再稼働すること自体が誤りだといっている。それが意義深い」と強調した。

一方、推進側は同決定が今後に影響する可能性は少ないとみる。元通商産業官僚で、日本経団連系のシンクタンク、「21世紀政策研究所」研究主幹の澤昭裕氏は、脱原発派が仕掛ける法廷闘争が高裁など上級審へ進んだ場合、今回のような司法判断は出ないと予想する。


澤氏は、公衆の安全と財産を守る原子炉等規制法のもとで行政による安全規制の仕組みが機能していると指摘。そうした現状を踏まえずに、裁判所が「専門家の意見もあまり聞かないで判断する判決は多分出ることはないだろう」と話す。

仮処分は裁判所による暫定的な決定で、緊急性があり、長い時間がかかる訴訟では防ぐことができない権利の侵害を止めるための法的手続きだ。暫定的ながらも、いったん認められると、裁判所への異議や抗告による対抗手段を通じてその決定を覆さない限り効力が続く。その期間は数か月では終わらない見通しだ。


高浜3、4号は今年2月に、川内1、2号は昨年9月に、原子力規制委員会から新規制基準に適合しているとの合格判定をそれぞれ得た。高浜の場合、地元同意が必要となるものの、同4基はいずれも年内には再稼働すると見込まれていた。しかし、今回の仮処分決定で、その方針は棚上げとなった。


大飯原発については、昨年5月の判決を受けて関電が直ちに控訴し、現在は名古屋高裁金沢支部で争われている。判決が確定するまでは、大飯3、4号は原子力規制委の審査に合格すれば法的には再稼働は可能だが、まだ実現には至っていない。

原子力規制委は、今後、川内や高浜のほか、四国電力(9507.T: 株価, ニュース, レポート)伊方原発3号や九電玄海原発3、4号などの審査合格に関する判断を年内にも出すとみられる。これに対し、河合弁護士ら反対派は、地域住民に呼びかけて今後も各地の裁判所に仮処分を申し立てる構え。政府が進める原発再稼働のシナリオが各地の司法の場でその是非を問われる展開が予想される。

ただ、今後の原発関連訴訟で、樋口裁判長と同様の判断が示されるのかどうかは予断を許さない。元裁判官の瀬木比呂志・明治大学法科大学院教授は、今回の福井地裁の決定に対して「原子力規制委員会がゴーサインを出した原発に対して仮処分の(差し止め)判断が出たとは一定の重みを持つ」としながらも、「これに続くような決定がこれからどんどん出てくるとは思えない」と述べ、脱原発派には厳しい予想を示した。


原発再稼働に対する司法判断の流れを予想するうえで、次の焦点とみられているのが九州電力(9508.T: 株価, ニュース, レポート)川内原発の再稼働差し止めを求めた仮処分申請の可否だ。同原発については、福島第1原発事故後に決まった原発新規制基準のもとで、昨年11月、全国で初めて地元同意の手続きが終わり、九電は今年7月の再稼働を計画している。鹿児島地裁は22日午前10時に、仮処分についての決定を出す。


担当する裁判官は前田郁勝氏。高浜原発に対する仮処分の流れを引き継いだ決定がでるか、あるいは申し立てが否定されるかは予想しがたい状況だ。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150414#1429008073