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米国向けには反省、国内では歴史修正…安倍首相が米議会演説で駆使した卑劣な“二枚舌”|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

実は今回の演説前、首相のスピーチライターである谷口智彦・内閣官房参与が訪米して、議会関係者にヒアリング。米国側が求めている内容を草稿に反映させていた。また、谷内正太郎国家安全保障局長も3月17日、ワシントンを急遽訪問し、スーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)と緊密な協議をしている。


 いや、たんなるスピーチの言葉だけではない。官邸と外務省はかなり早い段階から安倍首相の米議会での演説を実現するために根回しをしていたのだが、その際、米側から突きつけられたのが、集団的自衛権の容認、新ガイドラインの策定、そしてTPPの早期締結だった。

 実は安倍首相は訪米が決まってから、このダブルスタンダード、二枚舌作戦をしきりに用いるようになっているのだ。海外向けには反省のポーズを見せながら、国内向けには旧来の歴史修正主義的な解釈の余地を残す──。


 訪米を前にした3月、安倍首相は米「ワシントン・ポスト」のインタビューを受けたのだが、この際、従軍慰安婦を「ヒューマン・トラフィッキング」(human trafficking=人身売買)と定義し、「人身売買によって酷い目に遭い、想像を絶する苦しみと言いようのない痛みを受けた人々を思うと胸が痛む」と語った。英語の「human trafficking」は“強制的な連行”を想起させ、米国務省慰安婦問題に関する公式見解でも使用している言葉だ。


 ところが、安倍官邸は一方の日本国内では同じ言葉を使いながら、この「強制性」とはまったく逆のことを喧伝しているのである。


 象徴的だったのが産経新聞(3月28日付)の記事だ。記事では、安倍首相が前述のインタビューで「人身売買」という表現を使った理由について、政府高官からとってきた「特別な意味はない」「人身売買には日本語の意味として強制連行は含まれない」というコメントを用いて、〈旧日本軍や官憲による強制連行説とは一線を画す意図もあったとみられる〉と書いている。


 ようは、安倍政権の情報操作を担う菅義偉官房長官みずからが、“「人身売買」には強制連行の意味はない”と産経記者に話して記事にさせているわけだ。

 つまり、安倍首相は米国向けには謝罪のニュアンスを出しながら、日本では謝罪をしていないことを強調し、依然として歴史修正主義を貫く姿勢をアピールしているのだ。


 もちろん、安倍首相の本心は歴史修正のほうにある。国際社会の顔色をうかがって今は抑えているが、一気に戦争肯定、戦前の価値観を復活させるチャンスを虎視眈々と狙っているはずだ。


 米国はつい最近までこの安倍首相の姿勢を危険視していたが、ここにきて、その本音を承知で、この歴史修正主義思想をもつ首相を全面支持する方向に姿勢を切り替え始めた。それはもちろん、安倍首相が集団的自衛権容認、周辺事態法改正によって、地球の裏側にまで自衛隊を派兵し、米軍の戦争に協力する体制をつくりつつあるからだ。