辰已法律研究所 出版ブログ : Y氏の法律入門 第1回「法律の本って、どう選べばよいの?」
辰已法律研究所 出版ブログ : Y氏の法律入門 第2回「学者の先生が書いた本と予備校本、どっちがよいの?」
学者の先生の本(特に基本書と呼ばれる本)は、いわば物語のように連なって1冊が1つの作品となっています。首尾一貫していて内容は正確、パーツパーツで矛盾がないように書かれています。
ただ、学問研究の成果を発表するということに主眼が置かれているので(中には内田貴先生のもののように、教科書と銘打ったものもありますが……)、学習的観点からは難解な表現も多数含まれています。
そして、これが初学者のみなさんにとって悩ましいのですが、よく基本書は「行間を読め」ということが言われます。行間、つまり直接には書かれていないことも、読む人が読めば書いてあるというのが学者の先生の本なのです。
一説には、法律学が思考力を鍛える学問であるため、読み手に考えさせるためにあえて詳しく説明をしないこともあるのだそうです。
まとめると、正確で一貫しているけれど難解な箇所もあり、読みこなすには一定程度の法的素養が必要ということになるでしょう。
一方、予備校が出している本はどうでしょうか。予備校本にも色々な種類があるものの、総じて言えるのは、「とにかくわかりやすい」ということです。難しい法律の概念について、図・表・キーワードなどを多用して、とにかくわかりやすく書かれています。
ただ、わかりやすさを優先するため仕方のないことなのですが、難解な概念をあえて避けていたり、学界で実は争いがある論点について通説と言われる最も支持されている説のみに絞って解説されていたりするため、読み手に誤解を与える恐れがあります。
また、予備校本の中には、「この問題については、このように書けばよい」という文章例が書いてあることがあります(論証と呼ばれます)。論証を読むこと自体は勉強になりますし、「よいな」と思ったところは大いに学ぶべきです。
ただ、これだけが正解というような錯覚に陥り、論証を暗記することのみが法律の勉強だと勘違いしてしまう恐れもあります。こうなると、膨大な知識をただ機械的に覚えることだけが法律の勉強ということになってしまい法律を学ぶことが嫌いになってしまいます。
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